嘔吐や下痢、腹痛の原因で最も多いウイルス性胃腸炎についてのお話です。

 

まとめ

下痢や嘔吐のときに抗菌薬は要注意 

 

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原因となるウイルスとしては、ノロウイルス(冬に流行します)、ロタウイルス(春に流行します)、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルスが多いとされます。

いずれであっても治療は対症療法となります。

具体的には、脱水や低栄養を予防するよう内服薬を処方し、場合によっては点滴を行います。

 

ちなみに、抗菌薬の適応となる細菌性腸炎との区別は便培養で細菌の有無を調べることです。

便中の白血球や血便の有無、エコーなどの画像による炎症の評価なども手助けになります。

 

ウイルス性胃腸炎はお腹の風邪と表現されることがあります。

風邪はウイルス性上気道炎の事ですので、腹部のウイルス感染という意味での表現です。

いずれも抗菌薬の効果がないウイルス性の疾患です。

しかし、胃腸炎の場合には抗菌薬の有害性が強く出ます。

 

一つ目はClostridium difficile関連下痢症(偽膜性腸炎)です。

これは正常な腸内細菌叢が抗菌薬により、Clostridium difficileにとって変わられることが発症の要因です。

激しい下痢のため、治療に難渋します。

 

二つ目は腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症リスクを上げる可能性です。

溶血性尿毒症症候群(HUS)とは致死的な重篤な疾患なのですが、抗菌薬により発症リスクが上昇するとのこ報告もあります。

(ガイドライン上では、一定の結論は出ていないとされています)

HUSのガイドライン http://www.jspn.jp/file/pdf/20140618_guideline.pdf

 

 ウイルス感染では抗菌薬の効果はありませんし副作用のリスクもあります。

また腸管出血性大腸菌による細菌性腸炎であっても抗菌薬の効果と悪影響は定まっておりません。

抗菌薬を飲んで悪化した場合にはすぐに治療方針の変更が必要です。