亜鉛欠乏症と亜鉛補充のコツ
亜鉛は意外と不足しているミネラル
亜鉛は体内に約2gしか存在しない微量元素ですが、300種類以上の酵素の働きに関与する重要なミネラルです。
体内で合成することができないため、食事やサプリメントから継続的に摂取する必要があります。
亜鉛が不足すると、味覚障害、脱毛、皮膚炎、口内炎、倦怠感、性機能低下など様々な症状が出現することが知られています。
性機能低下により男性更年期障害の症状が悪化します。
実際に外来診療でも、血清亜鉛値を測定すると潜在的な亜鉛不足が見つかることは少なくありません。
亜鉛を補充しても増えない方向けのコラムです。
血液検査でどのくらいなら不足?
一般的には血清亜鉛値で以下のように判断します。
- 80~130μg/dL:正常
- 60~79μg/dL:潜在性亜鉛欠乏
- 60μg/dL未満:亜鉛欠乏症
ただし血清亜鉛値は食事や採血時間の影響を受けるため、数値だけでなく症状もあわせて評価することが重要です。
亜鉛を飲んでいるのに改善しない理由
外来でよくあるのが、
「亜鉛を飲んでいるのに数値が上がらない」
というケースです。
その原因として多いのが「飲み合わせ」です。
亜鉛は腸で吸収されますが、同時に摂取する成分によって吸収率が低下することがあります。
コーヒーと一緒に飲まない
コーヒーや緑茶に含まれるタンニンやポリフェノールは、ミネラルの吸収を妨げる可能性があります。
特に朝食後に
- コーヒー
- マルチビタミン
- 亜鉛サプリ
をまとめて飲んでいる方は少なくありません。
亜鉛補充を目的とする場合は、コーヒーやお茶と一緒ではなく、水または白湯で服用することをおすすめします。
鉄剤とは時間をずらす
鉄と亜鉛は腸管で同じ輸送体を利用するため、高用量を同時に摂取するとお互いの吸収を阻害する可能性があります。
女性や貧血治療中の方で
- 鉄剤
- 亜鉛サプリ
を同時に飲んでいるケースがありますが、少なくとも2時間以上あけるのが理想的です。
マグネシウムとも同時摂取は避ける
マグネシウムは健康維持に重要なミネラルですが、高用量のミネラル同士を同時に摂取すると吸収効率が低下することがあります。
そのため、
- 朝:亜鉛
- 夜:マグネシウム
のように分けて服用するとよいでしょう。
亜鉛は空腹時が最も吸収されやすい
亜鉛は一般的に空腹時の方が吸収率は高いとされています。
おすすめのタイミングは
- 朝起床後
- 食事の1時間前
- 食後2時間以上経過後
です。
ただし、亜鉛製剤やサプリメントによっては吐き気や胃部不快感が出ることがあります。
その場合は無理に空腹時にこだわらず、軽食後に服用してください。
継続できることの方が重要です。
食事だけで十分な量を摂れる?
亜鉛を多く含む食品としては、
- 牡蠣
- 牛赤身肉
- レバー
- チーズ
- ナッツ類
などがあります。
しかし、亜鉛欠乏症まで進行している場合は、食事だけで十分な量を補充することが難しいこともあります。実際にはサプリメントや医療用亜鉛製剤を併用するケースも少なくありません。
亜鉛補充の実践ポイント
亜鉛補充で最も大切なのは「量」だけではなく「飲み方」です。
亜鉛補充のコツ
✓ コーヒーやお茶と一緒に飲まない
✓ 鉄剤とは2時間以上あける
✓ マグネシウムとは時間を分ける
✓ 水または白湯で服用する
✓ 可能であれば空腹時に飲む
✓ 数か月単位で継続する
まとめ
亜鉛欠乏症は味覚障害や脱毛だけでなく、疲労感や性機能低下など様々な不調の原因になります。しかし、亜鉛サプリや亜鉛製剤を服用していても、コーヒーや鉄剤、マグネシウムとの併用によって十分に吸収されていないことがあります。
「亜鉛を飲んでいるのに数値が上がらない」という方は、まず飲むタイミングや飲み合わせを見直してみるとよいでしょう。