睡眠時無呼吸症候群(SAS)とテストステロンの関係|いびきだけではない男性更年期障害との深い関係
「いびき」と「男性ホルモン」は関係がある?
「最近いびきがひどい」
「昼間に眠くて仕事に集中できない」
「疲れが取れない」
「性欲も落ちてきた」
これらの症状がある場合、
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)が隠れているかもしれません。
さらに近年では、
睡眠時無呼吸症候群と男性更年期障害(LOH症候群)は、お互いに影響し合うことが分かってきました。
今回は、睡眠とテストステロンの関係について、現在のエビデンスをご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、
睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。
代表的な症状には、
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大きないびき
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睡眠中の無呼吸
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日中の強い眠気
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朝の頭痛
-
熟睡感がない
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夜間頻尿
などがあります。
放置すると、
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高血圧
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糖尿病
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心筋梗塞
-
脳卒中
などのリスクが高まることが知られています。
睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療については▶こちらで詳しく解説しています。
睡眠不足はテストステロンを低下させます
テストステロンは、
主に睡眠中、とくに深い睡眠(徐波睡眠)やREM睡眠に合わせて分泌が促されます。
そのため、
睡眠が断続的になる睡眠時無呼吸症候群では、
テストステロン分泌が低下しやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群の男性では、
健康な男性と比べて
-
遊離テストステロン
-
総テストステロン
が低い傾向を示す研究が数多く報告されています。
男性更年期障害と症状がよく似ています
興味深いことに、
睡眠時無呼吸症候群と男性更年期障害は、
症状が非常によく似ています。
共通する症状として、
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強い疲労感
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やる気が出ない
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集中力低下
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気分の落ち込み
-
ED(勃起障害)
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性欲低下
-
筋力低下
などがあります。
そのため、
男性更年期障害と思って受診した方に睡眠時無呼吸症候群が見つかったり、
逆に睡眠時無呼吸症候群として治療中にテストステロン低下が判明することも少なくありません。
男性更年期障害(LOH症候群)の症状やテストステロン補充療法(TRT)については▶こちらで詳しく解説しています。
肥満が両方の病気に関係しています
睡眠時無呼吸症候群と男性更年期障害には、
肥満という共通のリスク因子があります。
肥満になると、
首周囲や舌の脂肪が増えて気道が狭くなり、
睡眠時無呼吸症候群が起こりやすくなります。
一方で、
脂肪組織ではアロマターゼという酵素が活性化し、
テストステロンがエストラジオール(E2)へ変換されやすくなります。
その結果、
テストステロンが低下しやすくなり、
男性更年期障害の症状も出やすくなります。
つまり、
肥満は睡眠時無呼吸症候群と男性更年期障害の両方を悪化させる要因なのです。
CPAP治療でテストステロンは上がる?
睡眠時無呼吸症候群の標準治療は、
CPAP(シーパップ)療法です。
CPAPによって睡眠の質は改善し、
日中の眠気や生活の質が大きく改善します。
では、
CPAPでテストステロンも上がるのでしょうか?
実は、
ここはまだ結論が出ていません。
初期の研究では改善が報告されたものもありましたが、近年のレビューでは、CPAPだけでテストステロンが一貫して上昇するという十分な証拠はありません。
一方で、
睡眠の質や疲労感、性機能が改善する患者さんは多く、
結果として「男性更年期症状が軽くなった」と感じる方は少なくありません。
TRTを受けても大丈夫?
「睡眠時無呼吸症候群でもテストステロン補充療法(TRT)は受けられますか?」
これは非常によくある質問です。
現在の考え方は、
未治療の重症睡眠時無呼吸症候群では慎重に判断する
というものです。
一部の研究では、TRT開始後の数週間は、無呼吸指数(AHI)が一時的に悪化する可能性が報告されています。
ただし、その影響は小さい、あるいは一過性であるという研究も多く、「TRTが睡眠時無呼吸症候群を必ず悪化させる」とまでは言えません。
そのため現在の内分泌学ガイドラインでは、未治療の重症睡眠時無呼吸症候群ではTRT開始を控えることが推奨されています。
一方で、CPAPなどで適切に治療されている場合には、症状や検査結果を確認しながらTRTを行うことは可能と考えられています。
このような方は睡眠時無呼吸症候群を疑いましょう
次のような症状がある方は、
睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
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家族からいびきを指摘される
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呼吸が止まっていると言われる
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朝起きても疲れが取れない
-
昼間の眠気が強い
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肥満がある
-
高血圧がある
-
EDや性欲低下もある
このような方は、
男性ホルモンだけでなく、
睡眠の評価も重要になります。
睡眠時無呼吸症候群は、
問診だけでは診断できず、
簡易検査や睡眠ポリグラフ検査で評価します。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群と男性更年期障害は、
どちらも
-
疲労感
-
ED
-
性欲低下
-
抑うつ
-
集中力低下
など共通する症状が多く、
互いに影響し合っています。
睡眠時無呼吸症候群では、
睡眠の質の低下や肥満などを介して、
テストステロンが低下しやすくなることが知られています。
一方で、
TRTを検討する際には、
未治療の重症睡眠時無呼吸症候群がないかを確認することも重要です。
「疲れが年齢のせいだと思っていたら睡眠時無呼吸症候群だった」
「男性更年期障害だと思っていたら睡眠の病気もあった」
というケースは決して珍しくありません。
疲れや性欲低下、いびきなどが続いている方は、
テストステロンだけでなく睡眠も一緒にチェックすることが、健康への第一歩になります。
参考文献
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