フランス、イタリア、イギリス、スペインなどのヨーロッパへの旅行では、東南アジアやアフリカへの旅行と比べて、特別な渡航ワクチンが必要になるケースは多くありません。
ただし、「ヨーロッパだから予防接種は何も必要ない」と考えるのも適切ではありません。
海外旅行前には、まず日本の定期予防接種を確認し、旅行先や旅行内容によって必要な予防接種を検討します。
ヨーロッパ旅行でワクチンは必要?
一般的な短期の都市観光では、特別な渡航ワクチンが必要になることは多くありません。
一方で、WHOは海外旅行前に通常の予防接種が最新の状態になっているか確認することを勧めています。
また、ヨーロッパでは麻しんの流行が繰り返されており、WHO欧州地域も予防接種率の維持と未接種者への接種の重要性を示しています。
ヨーロッパ旅行前に確認したいワクチン
麻しん・風しん
海外旅行前には、これまでの麻しん・風しんの予防接種歴を確認することをおすすめします。
特に、
- 接種歴が不明
- 1回しか接種していない
- 海外旅行の機会が多い
- 子どもと一緒に旅行する
などの場合には、予防接種歴について医療機関に相談することを検討します。
破傷風
ハイキング、サイクリング、キャンプなどのアウトドア活動を予定している場合には、破傷風の接種歴を確認します。
A型肝炎
一般的なヨーロッパ都市観光では一律に必要というわけではありません。
旅行内容や滞在期間などによって検討する場合があります。
ダニ媒介脳炎
中央・東ヨーロッパなどの森林地域で、キャンプやハイキングなど屋外活動を行う場合には、ダニ媒介感染症について確認することがあります。
都市観光とアウトドア旅行では注意点が異なります
パリ、ロンドン、ローマなどの都市観光と、
- アルプスでのトレッキング
- キャンプ
- 森林でのハイキング
- 長期間の地方滞在
では、感染症への曝露機会が異なります。
特に屋外活動では、蚊やダニなどの虫刺され対策も重要です。
アルプスなど山岳ハイキングではハチ刺傷にも注意
アルプスなどの山岳地域でハイキングやトレッキング、キャンプなどのアウトドア旅行を予定している場合は、蚊やダニだけでなく、ハチ・スズメバチなどによる刺傷にも注意が必要です。
特に、過去にハチやスズメバチなどに刺されて、全身のじんましん、息苦しさ、喉の違和感、血圧低下などのアナフィラキシーを起こしたことがある方は、海外旅行前に医師へ相談することをおすすめします。
こうした方では、渡航先での医療機関へのアクセスや旅行内容などを考慮し、アドレナリン自己注射薬(エピペン)の携行を検討します。
詳しくはアナフィラキシー対策をご覧ください。
海外旅行や海外赴任では、ハチ刺傷だけでなく、現地の食材や食品表示の違いによる食物アレルギー、薬剤アレルギーなどによってもアナフィラキシーが起こることがあります。特に海外赴任・長期滞在では、日常的に現地の食事を摂る機会が増えるため、食物アレルギーのある方は渡航前の備えがより重要になります。
また、マダニなど他の刺す虫にも注意してください。
CDCも、重度のアレルギーや刺す昆虫に対するアレルギーがある旅行者について、渡航前にアドレナリン自己注射薬の準備、使用方法の確認、アナフィラキシー時の対応計画を確認するよう推奨しています。
こんな旅行では事前に相談を
- アルプスなど山岳地帯でのハイキング・トレッキング
- キャンプ・アウトドア旅行
- 森林地域での長期滞在
- 医療機関へのアクセスが限られる地域への旅行
- 過去にハチ刺傷でアナフィラキシーを起こしたことがある方
エピペンが必要かどうかは、過去のアレルギー反応の内容、旅行先、活動内容、医療機関へのアクセスなどを踏まえて判断します。
また、海外では薬剤名や規格が異なることがあるため、処方を受けた場合には、旅行中もすぐ取り出せる場所に携行し、可能であれば処方内容を確認できる書類も一緒に持参することをおすすめします。CDCも、自己注射用エピネフリンを必要とする旅行者には、機内持ち込み手荷物などすぐアクセスできる場所での携行と、処方医による説明書類の携帯を勧めています。
ヨーロッパ旅行前に確認したい入国手続き
シェンゲン圏を含むヨーロッパでは、今後デジタル化された入国手続きが進んでいます。
EUのEntry/Exit System(EES)は2026年4月10日からシェンゲン加盟国で全面運用されています。
一方、ETIASは2026年9月現在まだ運用開始前で、EUは2026年第4四半期の開始を予定しています。日本国籍者も対象となる予定です。
入国情報:2026年9月確認
ビザ・電子渡航認証・入国条件は変更される可能性があります。渡航前に必ず各国政府・EU等の公式情報をご確認ください。
ETIASの開始時期などは変更される可能性があるため、ヨーロッパ旅行前にはEU公式サイトで最新情報を確認してください。
ヨーロッパ旅行まで時間がない場合
短期の都市観光であれば、まず定期予防接種、特に麻しんなどの接種歴を確認してください。
長期滞在、留学、アウトドア活動などを予定している場合には、渡航先と活動内容に応じて追加の対策を検討します。
よくある質問
Q. ヨーロッパ旅行にワクチンは必要ですか?
A. 一般的な短期都市観光では特別な渡航ワクチンが必要になるケースは多くありません。ただし、定期予防接種の確認は重要です。
Q. ヨーロッパ旅行前に麻しんワクチンを受けた方がいいですか?
A. 接種歴や年齢などによって異なります。接種歴が不明な場合は医療機関に相談してください。
Q. スイスなどでハイキングをする場合は?
A. 森林や草原での長時間の活動では、ダニ媒介感染症などについても確認することがあります。
海外渡航・ワクチンについて
ヨーロッパ以外の渡航先の情報や、海外赴任・海外出張、ご家族での帯同を予定されている方は、以下もあわせてご確認ください。
参考文献・公式情報
- 厚生労働省検疫所(FORTH)「海外渡航のためのワクチン」
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/useful_vaccination.html - WHO「Vaccines and travel」
https://www.who.int/travel-advice/vaccines - WHO Europe「Measles and rubella」
https://www.who.int/europe/health-topics/measles - European Commission「Entry/Exit System (EES)」
https://home-affairs.ec.europa.eu/policies/schengen/smart-borders/entry-exit-system_en - European Union「ETIAS」公式サイト
https://travel-europe.europa.eu/en/etias