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代替塩(やさしお)は心血管疾患を減らせる?|メリット・デメリットを医師が解説

代替塩(やさしお)は心血管疾患を減らせる?|メリット・デメリットを医師が解説

高血圧の治療では減塩が基本です。しかし、ふだんから濃い味付けに慣れていると、急に塩分を減らすのは簡単ではありません。そのような方に外来でおすすめしているのが、ナトリウムの一部をカリウムに置き換えた「代替塩(減塩塩)」です。代表的な商品に、やさしお®・ウレシオ®・減塩習慣®などがあります。塩味を保ちながらナトリウム摂取量を減らせるため、高血圧の方には有用な選択肢の一つです。

代替塩とは?

一般的な食塩はほぼ塩化ナトリウム(NaCl)ですが、代替塩では一部を塩化カリウム(KCl)に置き換えています(多くの製品でNaCl 70〜75%程度)。その結果、次のような特徴があります。

  • ナトリウム摂取量を減らせる
  • カリウム摂取量を増やせる(カリウムには血圧を下げる作用があります)
  • 血圧の低下が期待できる

心血管疾患を減らすことは証明されている?

代替塩に血圧を下げる効果があることは以前から知られていましたが、「脳卒中や心筋梗塞を本当に減らせるのか」は長らく分かっていませんでした。

2021年にNEJMに掲載されたSalt Substitute and Stroke Study(SSaSS)は、60歳以上の高血圧または脳卒中の既往がある約21,000人を対象に、通常の食塩とNaCl 75%の代替塩を比較し、平均4.7年間追跡した大規模試験です(中国の農村部600村でのクラスターランダム化比較試験)。

アウトカム 代替塩群 通常塩群 相対的な変化
脳卒中(1,000人年あたり) 29.1 33.7 約14%減少
主要心血管イベント(同) 49.1 56.3 約13%減少
総死亡(同) 39.3 44.6 約12%減少
高カリウム血症による重篤な有害事象(同) 3.35 3.30 有意差なし

さらに2022年のコクランレビューでも、代替塩は血圧を低下させ、心血管イベントや心血管死亡を減らす可能性が高いと結論づけられています。2024年のメタ解析でも同様の方向性が示されています。

代替塩のデメリット

① 慢性腎臓病(CKD)の方は注意

  • 代替塩にはカリウムが多く含まれます
  • 慢性腎臓病・透析中・高カリウム血症・カリウム制限中の方では、カリウムが体内にたまり不整脈などの原因になることがあります
  • メーカー(やさしお®)も「腎臓病の方や食事療法中の方は医師へ相談」と案内しています

② 味が少し異なる

  • 塩化カリウムには、わずかな苦味や金属的な風味があります
  • 料理に使うと気にならないという方が多く、慣れれば問題なく使える場合がほとんどです

③ 価格が高め

  • 通常の食塩より割高です
  • 1日あたりの使用量はわずかなため、負担は大きくなりにくいと考えられます

SSaSSでは重篤な高カリウム血症は増えませんでしたが、重度の腎疾患がある方は試験の対象外でした。そのため、CKDの方にそのまま当てはめることはできません。eGFRが低いと言われている方や、カリウム制限中の方は、必ず主治医(腎臓内科など)にご相談ください。

どんな人におすすめ?

取り入れやすい方

  • 高血圧がある
  • 減塩を無理なく続けたい
  • 脳卒中の予防を考えている
  • 家庭で料理をすることが多い

自己判断で使わず相談が必要な方

  • 慢性腎臓病がある
  • 高カリウム血症を指摘されたことがある
  • カリウム制限中、またはカリウムを上げやすい薬(ACE阻害薬・ARB・MRA・カリウム保持性利尿薬など)を使っている

まとめ

  • 代替塩はナトリウムを減らしカリウムを補えるため、血圧管理に役立ちます
  • 大規模研究(SSaSS)では、脳卒中・心血管イベント・死亡の低下が示されました
  • 一方で、慢性腎臓病などカリウム制限が必要な方では注意が必要です
  • 味に少し違いがあり、価格も高めというデメリットがあります

高血圧のある方が減塩を無理なく続ける方法の一つとして、代替塩を上手に取り入れる価値は十分あると考えています。ご自身に使ってよいか迷う場合は、高血圧の外来でご相談ください。健康診断で血圧や腎機能を指摘された方は、健康診断で異常を指摘された方へもご覧ください。

参考文献

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