大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック
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セックスや射精頻度とテストステロン

セックスや射精の頻度は健康に関係する?|テストステロン・健康寿命・前立腺がんとの関係をエビデンスで解説

「射精した方が健康に良い」は本当でしょうか?

インターネットでは、

「射精を我慢するとテストステロンが上がる」

「毎日射精すると男性ホルモンが減る」

「射精回数が多いと前立腺がんになりにくい」

など、さまざまな情報を目にします。

実際には、一部は科学的根拠があり、一部は誤解です。

今回は、現在のエビデンスをもとに、

  • テストステロン

  • セックスや射精の頻度

  • 健康寿命

  • 前立腺がん

との関係について解説します。


射精するとテストステロンは減る?

結論から言えば、通常の性生活や射精によって、テストステロンが慢性的に低下することはありません。

一時的なホルモン変動はありますが、数時間から1日程度で元に戻ります。

「禁欲するとテストステロンが劇的に上がる」という説もありますが、7日前後で一時的な変化を認めた小規模研究はあるものの、その後も高値が持続することは示されていません。

現在の医学では、長期間の禁欲によって男性ホルモンが高い状態になるというエビデンスはありません。


テストステロンが高い人ほど性生活は活発?

こちらは比較的よく知られています。

テストステロンは

  • 性欲(リビドー)

  • 性的興奮

  • 勃起機能

に深く関わっています。

男性更年期障害(LOH症候群)では、

  • 性欲低下

  • 朝立ちの減少

  • ED

が代表的な症状です。

TRTによって性欲が改善することは多くのランダム化比較試験で確認されています。

つまり「射精がテストステロンを下げる」のではなく、テストステロンが十分ある人ほど自然に性生活が活発になるという因果関係の方が重要です。


セックスや射精の頻度と健康寿命

興味深いことに性生活が活発な人ほど、

  • 心血管疾患

  • 抑うつ

  • フレイル

  • 死亡率

が低いという観察研究は複数あります。

しかし、ここで注意が必要です。

これは

「セックスが健康を作っている」

というより、健康だから性生活も維持できているという「逆因果」の影響も考えられます。

つまり性生活は健康状態を映す一つのバロメーターとも考えられます。

性生活を維持できるためには、

  • 運動習慣

  • 良好な睡眠

  • 適切な体重

  • 良好な血管機能

  • 十分なテストステロン

などが重要です。


射精回数と前立腺がん

ここは近年もっとも研究が進んでいるテーマの一つです。

ハーバード大学を中心とした約3万人の男性を長期間追跡した研究では、

月21回以上射精していた男性は、月4〜7回程度の男性と比べて前立腺がんの発症リスクが約20%低かったと報告されています。

また、その後のレビューやメタアナリシスでも、射精頻度が高い男性では前立腺がんリスクがやや低い可能性が示されています。

考えられているメカニズムとしては、

  • 前立腺液の停滞を防ぐ

  • 炎症を減らす

  • 発がん物質の排出

  • 前立腺内圧の低下

などが仮説として挙げられています。

ただし、因果関係が証明されたわけではありません。

健康な人ほど性生活が活発であることなど、交絡因子の影響も否定できません。


「21回/月」を目標にする必要はある?

よく話題になる

「月21回」

という数字ですが、

これは観察研究で最も頻度が高いグループを解析した結果です。

医学的に

「月21回以上射精しなければ健康になれない」

という意味ではありません。

むしろ重要なのは、本人にとって無理のない自然な性生活です。

性生活はストレスや義務感ではなく、生活の質(QOL)の一部として考えるべきでしょう。


ED治療は性生活だけでなく健康維持にも役立つ可能性

EDは加齢だけでなく

  • 動脈硬化

  • 糖尿病

  • 高血圧

  • 男性更年期障害

などのサインであることがあります。

適切な治療により性生活が改善すれば、運動や社会活動への意欲が高まるなど、生活の質全体が向上する可能性があります。

デイリータダラフィルや、必要に応じてTRTを組み合わせることで、性機能だけでなく全身の健康状態を見直すきっかけになる方も少なくありません。


当院からのメッセージ

「最近性欲が落ちた」

「朝立ちがなくなった」

「EDが増えてきた」

という変化は単なる年齢のせいではなく、

  • 男性更年期障害(LOH症候群)

  • 睡眠時無呼吸症候群

  • 糖尿病

  • 高血圧

  • メタボリックシンドローム

などが隠れていることもあります。

特に性欲低下やEDが数か月以上続く場合には、遊離テストステロンやPSAなどを含めた採血を受ける価値があります。


まとめ

現在のエビデンスでは、通常の射精や性生活によってテストステロンが慢性的に低下することはありません。

また、射精頻度が高い男性では前立腺がんリスクがやや低い可能性が報告されていますが、

因果関係はまだ証明されておらず、性生活の頻度だけで予防できるとは言えません。

一方で性欲や勃起機能は男性ホルモンや全身の健康状態を反映する重要なサインです。

「以前より性生活が大きく変わった」という変化は、体からのメッセージかもしれません。

無理に射精回数を増やすことよりも、運動・睡眠・体重管理・適切なホルモン管理によって健康な身体を維持することが、結果として良好な性機能と健康寿命につながると考えられます。


参考文献

  1. Rider JR, et al. Ejaculation Frequency and Risk of Prostate Cancer: Updated Results with an Additional Decade of Follow-up. Eur Urol. 2016.

  2. Leitzmann MF, et al. Ejaculation Frequency and Subsequent Risk of Prostate Cancer. JAMA. 2004.

  3. Bolarinwa OA, et al. Ejaculation Frequency and Prostate Cancer Risk: A Narrative Review of Current Evidence. Clin Genitourin Cancer. 2024.

  4. CAPLIFE Study Investigators. Ejaculation Frequency and Prostate Cancer. Cancers (Basel). 2023.

  5. Updated dose–response meta-analysis of sexual activity and prostate cancer risk. 2025.

  6. Bhasin S, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018.

  7. Corona G, et al. Testosterone and sexual function in men: a systematic review and meta-analysis. Eur Urol. 2017.

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