大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック
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肥満とテストステロン

肥満はテストステロンを下げる?|男性機能・健康寿命との関係と減量治療の選択肢を解説

「最近、お腹が出てきた」と感じたら、男性ホルモンも低下しているかもしれません

肥満は見た目だけの問題ではありません。

近年では、

  • 男性更年期障害(LOH症候群)

  • ED(勃起障害)

  • 糖尿病

  • 高血圧

  • 脂質異常症

  • 睡眠時無呼吸症候群

など、多くの疾患と深く関係していることが分かっています。

さらに、肥満そのものがテストステロンを低下させる原因になることも、多くの研究で明らかになっています。

今回は、肥満と男性ホルモン、健康寿命の関係、そして減量治療について解説します。


肥満になるとテストステロンは下がる

脂肪組織は単なるエネルギーの貯蔵庫ではありません。

内臓脂肪では

アロマターゼ

という酵素が増え、

テストステロンをエストラジオール(女性ホルモン)へ変換します。

その結果、脳は「性ホルモンは十分ある」と勘違いし、LH・FSHの分泌が低下します。

さらに、慢性炎症やインスリン抵抗性、レプチンの異常なども重なり、精巣でのテストステロン産生はさらに低下します。

この状態は肥満関連二次性性腺機能低下症(Male Obesity-related Secondary Hypogonadism:MOSH)と呼ばれ、重度肥満では30~40%以上にみられると報告されています。


テストステロンが低いと、さらに太りやすくなる

問題はここからです。

テストステロンが低下すると、

  • 筋肉量の減少

  • 基礎代謝の低下

  • 内臓脂肪の増加

  • 活動量の低下

  • 疲れやすさ

が起こります。

つまり

肥満 → テストステロン低下 → さらに肥満

という悪循環に入ってしまいます。

このサイクルを断ち切ることが重要です。


肥満は男性機能にも大きく影響します

肥満では、男性ホルモン低下だけでなく血管機能も悪化します。

そのため、

  • ED

  • 朝立ちの減少

  • 性欲低下

  • 精子の質の低下

なども起こりやすくなります。

また睡眠時無呼吸症候群を合併すると、夜間低酸素によってテストステロンはさらに低下します。

実際、肥満男性ではEDやLOH症候群の頻度が高いことが知られています。


健康寿命にも影響する

肥満は、

  • 糖尿病

  • 心筋梗塞

  • 脳卒中

  • 慢性腎臓病

  • がん

などのリスクを高めます。

さらに筋肉量が減ることで

  • サルコペニア

  • 転倒

  • 骨折

にもつながり、健康寿命を短くする原因になります。

一方、5~10%程度の体重減少でも

血糖、

血圧、

脂質、

睡眠時無呼吸症候群、

そしてテストステロン値まで改善することが報告されています。


まず基本は「運動」と「食事」

減量の基本は、

  • レジスタンストレーニング(筋トレ)

  • 有酸素運動

  • 高タンパク質の食事

  • 睡眠改善

です。

特に筋トレは、筋肉量を維持しながら脂肪を減らせるためテストステロン維持にも有利と考えられています。


漢方薬や肥満治療薬という選択肢も

生活習慣の改善だけでは十分な減量が難しい場合には、薬物療法を組み合わせることもあります。

防風通聖散

漢方薬の一つで、便通改善や軽度の体重減少が期待されます。

効果は比較的穏やかですが、肥満体質の方では選択肢になることがあります。

サノレックス(マジンドール)

食欲を抑える作用を持つ内服薬です。

短期間での使用が基本で、動悸や血圧上昇などに注意が必要です。

マンジャロ(チルゼパチド)

現在もっとも注目されている肥満治療薬の一つです。

GIP/GLP-1受容体作動薬で、食欲を抑えながら大きな体重減少が期待できます。

海外のガイドラインでも、チルゼパチドは肥満症に対する第一選択薬の一つとして位置付けられるようになっています。


TRTだけで痩せることはおすすめしません

「テストステロンを打てば痩せますか?」

という質問をいただくことがあります。

TRTによって

  • 除脂肪体重増加

  • 脂肪量減少

は期待できます。

しかし、

肥満だけを理由にTRTを行うことは現在のガイドラインでは推奨されていません。

まず重要なのは減量です。

減量によって自然にテストステロンが回復する方も少なくありません。

一方で減量しても

  • 性欲低下

  • ED

  • 倦怠感

などが続き、採血でも男性ホルモン低下が確認されれば、

TRTを検討する価値があります。


当院からのメッセージ

「年齢のせいだから仕方ない」

と思っていた不調が、実は肥満と男性ホルモン低下の組み合わせだったということは珍しくありません。

肥満を改善することは、体重を減らすだけではなく、

  • テストステロン

  • 男性機能

  • 糖尿病

  • 睡眠

  • 将来の健康寿命

まで改善する可能性があります。

食事や運動だけで難しい場合には、漢方薬や肥満治療薬、自費診療も含め、一人ひとりに合わせた選択肢があります。

まずは現在の体組成やホルモン状態を評価し、自分に合った治療法を一緒に考えていきましょう。


参考文献

  1. Grossmann M. Approach to the Patient: Low Testosterone Concentrations in Men With Obesity. J Clin Endocrinol Metab. 2025.

  2. Corona G, et al. European Academy of Andrology Guidelines on Functional Hypogonadism. Andrology. 2020.

  3. European Society of Endocrinology. Clinical Practice Guideline: Endocrine Work-up in Obesity. Eur J Endocrinol. 2020.

  4. Management of Male Obesity-related Secondary Hypogonadism: A Clinical Update. World J Diabetes. 2024.

  5. American Association of Clinical Endocrinologists. Comprehensive Clinical Practice Guidelines for Medical Care of Patients with Obesity. Endocr Pract. 2016.

  6. American College of Physicians. Living Clinical Guideline for Pharmacologic Treatment of Obesity. Ann Intern Med. 2026.

  7. Pharmacotherapy for Obesity Management in Adults: 2025 Clinical Practice Guideline Update. CMAJ. 2025.

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