睡眠導入剤でテストステロンは改善する?|睡眠・飲酒・男性ホルモンの関係をエビデンスで解説
「睡眠不足はテストステロンを下げる」と聞いたことはありませんか?
睡眠不足が続くと、
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日中の眠気
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集中力低下
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気分の落ち込み
だけではなく、テストステロンの低下とも関係することが知られています。
では、睡眠導入剤で睡眠時間や睡眠の質を改善すれば、テストステロンも改善するのでしょうか?
また「寝酒(アルコール)」と「睡眠導入剤」ではどちらが安全なのでしょうか?
今回は現在のエビデンスを整理して解説します。睡眠の乱れが続く方は▶ 男性更年期障害(LOH症候群)の症状・検査・治療もあわせてご確認ください。
テストステロンは「睡眠中」に多く分泌される
テストステロンは24時間一定ではありません。
特に
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深い睡眠(徐波睡眠)
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睡眠開始後数時間
に分泌が促進されます。
そのため睡眠時間が短かったり、睡眠が断続的になると翌朝のテストステロン値は低下します。
実験では、健康な若年男性でも睡眠時間を5時間程度に制限すると、日中のテストステロンが10〜15%程度低下することが報告されています。
つまり、睡眠は「男性ホルモンを作る時間」とも言えるのです。睡眠とホルモンの関係は睡眠とテストステロンでも詳しく解説しています。
睡眠導入剤でテストステロンは上がる?
ここは意外かもしれませんが、
「睡眠導入剤そのものがテストステロンを上げる」というエビデンスはありません。
一方で睡眠導入剤によって
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入眠しやすくなる
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睡眠時間が延びる
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中途覚醒が減る
ことで結果としてホルモン環境の改善につながる可能性はあります。
つまり睡眠導入剤の目的はテストステロンを増やすことではなく、正常な睡眠を取り戻すことです。
睡眠導入剤は睡眠の質を改善する?
現在のガイドラインでは、慢性的な不眠症に対して最も推奨される治療は
CBT-I(認知行動療法)
です。
一方で十分な睡眠衛生指導やCBT-Iだけでは改善しない場合には、睡眠導入剤を適切に使用することが推奨されています。
近年使用される
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オレキシン受容体拮抗薬
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非ベンゾジアゼピン系(いわゆるZ-drug)
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メラトニン受容体作動薬
などは適切な適応で使用すれば、睡眠時間や入眠困難の改善に有効であることが示されています。ベンゾジアゼピン系薬剤の使い方と注意点はベンゾジアゼピンの安全性もご参照ください。
「寝酒」は睡眠導入剤の代わりになる?
答えは
なりません。
アルコールは、確かに眠気を誘います。
しかし数時間後には
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中途覚醒
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レム睡眠の減少
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睡眠の分断
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いびきや睡眠時無呼吸の悪化
を引き起こします。
その結果、「眠ったつもりでも疲れが取れない」という状態になりやすくなります。
さらに、アルコール自体にもテストステロン低下や精巣機能低下との関連が知られています。
飲酒と睡眠導入剤、どちらが安全?
もちろん睡眠導入剤にも副作用があります。
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転倒
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ふらつき
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翌日の眠気
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依存(薬剤による)
などには注意が必要です。
しかし医師の管理下で適切に使用する睡眠導入剤と、自己判断で毎日寝酒を続けることを比べれば、一般的には前者の方が安全性は高いと考えられています。
実際、不眠症の診療ガイドラインでも、アルコールは治療法として推奨されていません。慢性的な不眠は生活背景とも関連することが知られており、婚姻状態と不眠の関連でも取り上げています。
TRTで睡眠が改善する人もいる
男性更年期障害(LOH症候群)では、不眠や睡眠の質の低下を訴える方も少なくありません。
低テストステロン男性を対象とした研究ではTRTによって
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睡眠障害
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不安
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QOL
が改善したという報告があります。気分の落ち込みを伴う場合はメンタルヘルスとテストステロンもあわせてご覧ください。
ただし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)がある場合には、TRTで悪化する可能性も指摘されており治療前にSASの評価を行うことが重要です。詳しくは睡眠時無呼吸症候群(SAS)とテストステロンの関係をご確認ください。
睡眠導入剤を飲んだ方がよい人もいます
「薬はなるべく飲みたくない」
というお気持ちは自然です。
しかし何か月も
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4〜5時間睡眠
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寝酒が習慣
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日中の強い眠気
という状態が続くのであれば、短期間でも睡眠を改善するメリットは小さくありません。
十分な睡眠は、
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テストステロン
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筋肉
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メンタルヘルス
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免疫
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血糖コントロール
など全身の健康に関わっています。
睡眠導入剤は「依存する薬」というイメージを持たれがちですが、現在では作用機序や安全性の異なる薬剤が複数あり、患者さんの状態に合わせて選択できるようになっています。
まとめ
睡眠不足はテストステロン低下の原因の一つです。
一方で睡眠導入剤自体がテストステロンを増やすわけではありません。
しかし適切に睡眠時間や睡眠の質を改善することで結果としてホルモン環境や日中のパフォーマンス改善につながる可能性があります。
また、「寝酒」は一時的に眠くなっても睡眠の質を悪化させるため、不眠症の治療としては推奨されません。
睡眠不足を我慢し続けたり、毎晩アルコールに頼ったりするよりも、原因を評価したうえで適切な治療を受けることが、健康にもテストステロン維持にも近道です。
参考文献
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日本睡眠学会. 睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン(最新版).
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日本睡眠学会. 睡眠障害診療ガイドライン(最新版).