大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック
Home » コラム » 睡眠とテストステロン

睡眠とテストステロン



理想の睡眠時間は何時間?|テストステロン・健康寿命・美容を守る睡眠の新常識

「睡眠時間を削って頑張る」は健康にも美容にも逆効果かもしれません

仕事や育児、趣味などで睡眠時間が短くなってしまう方は少なくありません。

しかし近年の研究では、睡眠は単なる「休息」ではなく、

  • テストステロンの分泌
  • 筋肉の回復
  • 脂肪燃焼
  • 認知機能
  • 美肌
  • 健康寿命

に大きく関わることが分かってきました。

今回は、現在のエビデンスをもとに、「何時間寝るのが理想なのか」「何時に寝るべきなのか」を解説します。睡眠不足による疲労感や意欲低下が続く場合は▶ 男性更年期障害(LOH症候群)の症状・検査・治療もご確認ください。

睡眠時間と健康リスクはU字の関係にあり、6時間未満でも9〜10時間以上でもリスクが上がる。成人では7〜9時間が最も良いとされる。テストステロンは主に深い睡眠中に分泌されるため、睡眠時間が短いと分泌の時間そのものが減る。
睡眠時間と健康リスクはU字の関係。短すぎても長すぎてもよくありません。テストステロンは深い睡眠中に分泌されるため、量と質の両方が大切です。

理想の睡眠時間は「7〜9時間」

現在、多くの睡眠医学ガイドラインでは、成人では7〜9時間程度の睡眠が推奨されています。

6時間未満の睡眠では、

  • 心血管疾患
  • 糖尿病
  • 肥満
  • うつ病
  • 死亡率

との関連が報告されています。

一方で、毎日9〜10時間以上眠る人も死亡率が高いことが知られています。

これは長時間睡眠そのものというより、慢性疾患や睡眠の質の低下が影響している可能性が考えられています。

つまり、「短すぎても長すぎてもよくない」というのが現在のコンセンサスです。


テストステロンの多くは睡眠中につくられる

男性ホルモン(テストステロン)は、24時間一定に分泌されているわけではありません。

最も多く分泌されるのは、深い睡眠(徐波睡眠)からREM睡眠へ移行する時間帯です。

健康な若年男性では、一晩の睡眠でテストステロンは徐々に上昇し、朝方に最も高くなります。

つまり睡眠時間が短くなると、テストステロンを十分に分泌する時間そのものが減ってしまいます。睡眠とホルモン分泌の関係は睡眠とテストステロンでも詳しく解説しています。


たった1週間の睡眠不足でもテストステロンは低下する

有名なシカゴ大学の研究では、健康な若年男性が5時間睡眠を1週間続けただけで昼間のテストステロンが約10〜15%低下しました。

さらに、

  • 活力低下
  • 性欲低下
  • 疲労感

も認められました。

慢性的な睡眠不足は、男性更年期障害(LOH症候群)と似た症状を引き起こす可能性があります。


「何時に寝るか」も重要

「7時間寝れば何時でも同じ」

というわけではありません。

私たちの体には、

約24時間周期の体内時計(サーカディアンリズム)があります。

夜になるとメラトニンが分泌され、睡眠だけでなく、ホルモン分泌や代謝も調整しています。

夜更かしを続けると体内時計が乱れ、

  • テストステロン
  • 成長ホルモン
  • コルチゾール

などの分泌リズムにも影響を及ぼします。

理想的には、23時頃までに就寝し、毎日ほぼ同じ時間に起床することが勧められます。

もちろん仕事などで難しい方もいますが、「睡眠時間」だけでなく「睡眠リズム」を整えることも重要です。


睡眠は美容にも大きく関係します

睡眠不足は、肌にもさまざまな影響を与えます。

研究では、睡眠不足の人ほど

  • シワ
  • くすみ
  • バリア機能低下
  • 紫外線ダメージからの回復遅延

がみられることが報告されています。

また、深い睡眠では成長ホルモンが多く分泌され、

  • コラーゲン合成
  • 筋肉修復
  • 皮膚のターンオーバー

が促進されます。

高価なスキンケア製品も大切ですが、十分な睡眠は「最もコストパフォーマンスの高い美容法」の一つと言えるでしょう。テストステロンと肌の関係についてはテストステロンは美容の敵?味方?で解説しています。


健康寿命にも睡眠は重要

睡眠時間と健康寿命の関係についても、多くの研究があります。

適切な睡眠は、

  • 認知症リスク低下
  • 心血管疾患予防
  • 糖尿病予防
  • 転倒リスク低下
  • フレイル・サルコペニア予防

と関連しています。

睡眠中には筋肉や脳だけでなく、免疫機能や代謝も回復しています。

年齢を重ねるほど、「睡眠の量」だけでなく「睡眠の質」が重要になります。


良い睡眠をとるためのポイント

睡眠の質を高めるためには、次のような生活習慣がおすすめです。

  • 毎日同じ時間に起床する
  • 朝に太陽の光を浴びる
  • 日中に適度な運動をする
  • 就寝2〜3時間前までに夕食を済ませる
  • 就寝前のアルコールは控えめにする
  • 就寝1時間前からスマートフォンやパソコンの使用を減らす
  • カフェインは午後遅い時間以降は控える

また、いびきや日中の強い眠気がある方では、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)とテストステロンの関係もあわせてご覧ください。

この場合は、睡眠時間を延ばすだけでは改善しないため、一度検査を受けることをおすすめします。男性更年期障害の症状としての不眠についてもご覧ください。睡眠薬や「寝酒」との付き合い方については不眠症の治療とテストステロンで解説しています。


「寝だめ」はできる?

平日に睡眠不足で、休日に昼まで寝る方も多いでしょう。

休日の睡眠で疲労の一部は回復しますが、慢性的な睡眠不足を完全に取り戻すことはできません。

また、休日だけ大きく寝坊すると、「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」となり、体内時計が乱れやすくなります。

休日も平日との差を1〜2時間以内にすると、睡眠リズムを保ちやすくなります。


まとめ

睡眠は、テストステロン、美容、健康寿命のすべてに関わる重要な生活習慣です。

現在のエビデンスでは、7〜9時間程度の睡眠と、規則正しい睡眠リズムが最も健康的と考えられています。

睡眠不足は、テストステロン低下だけでなく、筋肉量や美容、認知機能、心血管疾患リスクにも影響を及ぼします。テストステロンと健康寿命の関係もあわせてご覧ください。

特別なサプリメントや治療を始める前に、まずは毎日の睡眠を見直すことが男性ホルモンや健康寿命を守る第一歩になるかもしれません。


参考文献

  1. Leproult R, Van Cauter E. Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men. JAMA. 2011;305(21):2173-2174.(PMID: 21632481)
  2. Watson NF, et al. Recommended Amount of Sleep for a Healthy Adult: A Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine and Sleep Research Society. Sleep. 2015;38(6):843-844.
  3. Hirshkowitz M, et al. National Sleep Foundation’s sleep time duration recommendations. Sleep Health. 2015;1(1):40-43.
  4. Medic G, Wille M, Hemels MEH. Short- and long-term health consequences of sleep disruption. Nat Sci Sleep. 2017;9:151-161.
  5. Oyetakin-White P, et al. Does poor sleep quality affect skin ageing? Clin Exp Dermatol. 2015;40(1):17-22.(PMID: 25266053)
  6. Xie L, et al. Sleep drives metabolite clearance from the adult brain. Science. 2013;342(6156):373-377.(PMID: 24136970)
  7. American Academy of Sleep Medicine. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea. J Clin Sleep Med. 2017.
電話 03-5224-6672 LINEで予約