大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック
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流行のサプリとエビデンス

アメリカで人気、日本ではあまり行われない健康法|エビデンスから考える本当に必要な検査・サプリメントとは?

SNSで話題の健康法、本当に効果はある?

海外、特にアメリカでは、日本ではあまり一般的ではない健康法やサプリメントが人気になることがあります。

一方で医学は流行ではなく、エビデンス(科学的根拠)に基づいて判断することが大切です。

今回は、アメリカで広く知られている健康法について現在の医学ではどこまで分かっているのかをご紹介します。


ビタミンD|「とりあえず飲む」は推奨されなくなってきた

アメリカでは、ビタミンDサプリメントは非常に人気があります。

実際、2000年代以降、

「ビタミンD不足が、がん・心筋梗塞・糖尿病・認知症など多くの病気に関係する」

という観察研究が数多く報告されました。

しかしその後、ランダム化比較試験(RCT)が多数行われた結果、健康な成人が病気予防目的でビタミンDを routine に内服する利益は限定的であることが分かってきました。

そのため2024年のEndocrine Societyガイドラインでは、健康な成人への routine なビタミンD測定や、高用量サプリメントの routine な使用は推奨されていません。

もちろん、

  • 骨粗しょう症
  • 高齢者
  • 吸収障害
  • 明らかな欠乏

などではビタミンD補充は重要です。

つまり、「誰でも飲んだ方がいい」という時代ではなくなったと言えるでしょう。


EPA(オメガ3脂肪酸)|心臓病予防には「万能」ではない

EPAやDHAもアメリカでは非常によく飲まれています。

しかし現在では、一般の健康な人がサプリメントとして飲んでも、死亡率や心血管イベントを大きく減らす効果は一貫して示されていません。

一方で高トリグリセリド血症では、医療用EPA製剤が心血管イベントを減らした研究(REDUCE-IT試験)があり、対象を選べば非常に有効です。

つまり、EPAは

「全員におすすめ」

ではなく、適応がある人には有効という位置づけになっています。


「副腎疲労症候群」は病気ではありません

Adrenal Fatigue(副腎疲労症候群)という言葉を耳にすることがあります。

疲れやすさ、やる気の低下、睡眠障害などを、「副腎が疲れてコルチゾールが出なくなっている」と説明する考え方です。

しかし現在、副腎疲労症候群は医学的な診断名ではありません。

Endocrine Societyも、副腎疲労症候群を支持する科学的根拠は存在しないと明確にしています。


スポットのコルチゾール測定だけでは診断できません

海外では、午後の唾液コルチゾールや、1回だけ採血したコルチゾール値から「副腎疲労」と診断されることがあります。

しかし、コルチゾールは

  • 朝高く
  • 夜低い

という日内変動が非常に大きいホルモンです。

そのため、1回だけ測定した値では副腎機能は評価できません。

副腎機能低下症が疑われる場合は、通常、

  • 早朝コルチゾール
  • ACTH
  • 必要に応じてACTH負荷試験

などを組み合わせて診断します。


コルチゾールを飲むことにはリスクがあります

「副腎疲労」と診断され、ヒドロコルチゾンなどを処方されるケースもあります。

しかし、副腎機能が正常な方がステロイドを長期間服用すると、自分の副腎がホルモンを作らなくなる可能性があります。

さらに、

  • 糖尿病
  • 骨粗しょう症
  • 感染症
  • 高血圧

などの副作用もあります。

副腎ホルモンは、不足している人には命を救う薬ですが、不必要な人には害になる可能性があります。


バイアスピリン(低用量アスピリン)も「予防だから安心」とは言えない

アメリカでは、低用量アスピリンを安易に購入できるため、「健康のために毎日飲む」という人も少なくありません。

しかし近年は考え方が変わりました。

心筋梗塞や脳梗塞を一度も起こしたことがない人では、利益よりも消化管出血や脳出血のリスクが上回る場合が多く、自己判断での予防内服は推奨されなくなっています。

一方で、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方では、

現在でも重要な治療薬です。

つまり「誰でも飲む薬」ではなく、適応がある人だけが飲む薬になっています。


「海外で流行っている」と「科学的に正しい」は同じではありません

医療では、新しい健康法が話題になることは珍しくありません。

しかし、観察研究で期待された効果が、その後の大規模臨床試験で否定されることも少なくありません。

だからこそ、現在の医療では「流行」ではなく「エビデンス」を重視しています。


まとめ

海外では、

  • ビタミンD
  • EPA
  • 副腎疲労症候群
  • コルチゾール測定
  • 低用量アスピリン

などが広く知られています。

しかし現在のエビデンスでは、「全員に必要」というものはほとんどありません。

健康法は、「話題になっているから」ではなく、自分に適応があるかどうかが最も重要です。

不安になって自己判断でサプリメントやホルモンを始める前に、必要な検査と診察を受け、科学的根拠に基づいた医療を選ぶことをおすすめします。

当院の一般内科の診療についてはこちらをご覧ください。


参考文献

  1. Endocrine Society. Adrenal Fatigue. 2022.
  2. Bornstein SR, et al. Diagnosis and Treatment of Primary Adrenal Insufficiency: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2016;101(2):364-389.
  3. Demay MB, et al. Vitamin D for the Prevention of Disease: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2024;109(8):1907-1947.
  4. USPSTF. Aspirin Use to Prevent Cardiovascular Disease: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement. JAMA. 2022;327(16):1585-1597.
  5. Bhatt DL, et al. Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia (REDUCE-IT). N Engl J Med. 2019;380:11-22.
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