大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック
Home » コラム » 遊離テストステロンから総テストステロンへ

遊離テストステロンから総テストステロンへ

男性更年期(LOH症候群)のホルモン検査が変わります

~最新の診療ガイドラインに基づき、当院では総テストステロン測定を基本とします~

男性更年期(LOH症候群)は、加齢やさまざまな要因によって男性ホルモン(テストステロン)が低下し、疲労感、気力の低下、集中力の低下、抑うつ気分、性欲低下などの症状が現れる疾患です。

診断には、症状の評価とともに血液中のテストステロンを測定することが重要です。

これまでは「遊離テストステロン」を重視してきました

これまで日本では、男性更年期の診断に遊離テストステロン(Free Testosterone:FT)が広く用いられてきました。

その理由は、日本人を含むアジア人では総テストステロン(Total Testosterone:TT)よりも遊離テストステロンの方が加齢や男性更年期症状との関連が強いことが報告されており、2007年版の診療ガイドラインでも遊離テストステロンが診断の中心とされていたためです。

そのため、当院でもこれまで遊離テストステロンを基本とした診療を行ってまいりました。

ガイドライン改訂で診断基準が変更されていました

2022年、日本泌尿器科学会・日本メンズヘルス医学会による『LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き』が15年ぶりに改訂されました。

この改訂では、

  • 総テストステロンを診断の基本とする
  • 遊離テストステロンは補助的な検査として用いる

という考え方が採用されています。詳しい検査項目は男性更年期の検査についてのページでもご説明しています。

この背景には、

  • 総テストステロンの測定法が国際的に標準化されていること
  • 欧米を含め世界共通の診断基準と整合性を図る必要があること
  • 遊離テストステロン測定法の課題が指摘されるようになったこと

など、医学的な知見の蓄積があります。

「今までの検査が間違っていた」ということではありません

今回の変更は、これまでの診断方法が誤っていたという意味ではありません。

実際に、日本人では遊離テストステロンと症状との関連を示した研究は現在でも重要な知見と考えられており、新しいガイドラインでも遊離テストステロンは補助診断として引き続き位置付けられています。

医学は新しい研究成果に基づいて少しずつ進歩しており、診療方法もそれに合わせて見直されます。今回の変更も、その流れに沿ったものです。

当院での変更について

継続的な検査を受けている方は依然と比較しやすいこと、当院では日本人の患者さんが多いことから遊離テストステロンを優先して検査しておりました。

今後は最新の診療ガイドラインに基づき、総テストステロンを基本とした検査へ変更いたします。

なお、診断は血液検査だけで決まるものではありません。

男性更年期の症状は、ストレス、睡眠不足、生活習慣病、うつ状態、甲状腺疾患など、さまざまな原因でも起こるため、症状や診察所見、必要に応じた追加検査を含めて総合的に判断することが大切です。ガイドラインでも、テストステロン値だけではなく、症状を重視して診療することが推奨されています。診断までの流れは診断の流れのページでも図解しています。

当院では、これからも最新の医学的知見に基づき、一人ひとりの患者さんに最適な診療を提供してまいります。

ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽に男性更年期外来にご相談ください。

保険適用の条件や検査内容についてはこちらで詳しくご説明しています。

参考文献

  1. 日本泌尿器科学会,日本メンズヘルス医学会,LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き作成委員会.LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き.医学図書出版, 2022.日本泌尿器科学会 LOH症候群診療ガイドライン(PDF)
  2. Iwamoto T, Yanase T, Horie H, Namiki M, Okuyama A. Late-onset hypogonadism (LOH) and androgens: validity of the measurement of free testosterone levels in the diagnostic criteria in Japan. Int J Urol. 2009;16(2):168-174. PubMed(PMID: 19054164)
  3. Namiki M, Akaza H, Shimazui T, et al. Clinical practice manual for late-onset hypogonadism syndrome. Int J Urol. 2008;15:377-388. PubMed(PMID: 18452452)
  4. Kaufman JM. Diagnosis of hypogonadism in ageing men. Rev Endocr Metab Disord. 2022;23:1139-1150. Springer(DOI: 10.1007/s11154-022-09763-4)
  5. Ide H, et al. Late-onset hypogonadism: current methods of clinical diagnosis and treatment in Japan. Asian Journal of Andrology. 2025;27(4):447-453. PMC(PMC12279357)
電話 03-5224-6672 LINEで予約