大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック

男性更年期の検査について

男性更年期の検査でわかること

男性更年期障害(LOH症候群)が疑われる場合、まず行うのが血液検査です。テストステロンの値そのものだけでなく、関連するホルモンや、治療の安全性に関わる項目もあわせて調べることで、「本当にテストステロン低下が症状の原因なのか」「他の病気が隠れていないか」「治療を安全に行える状態か」を総合的に判断します。ここでは、男性更年期外来で調べる代表的な検査項目について、それぞれ何のために測るのかをご説明します。

検査項目や測定範囲は、保険診療か自費診療かによっても異なります。詳しくは「保険診療と自費診療でできる検査の違い」でご説明しています。

ホルモン検査(テストステロン・LH・FSH)

男性更年期障害の診断でもっとも重視されるのが、男性ホルモン(テストステロン)に関する検査です。

遊離テストステロン

遊離テストステロンは、血液中で実際に細胞に作用できる状態にある活性型のテストステロンです。日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会の「LOH症候群診療の手引き」では、この値がLOH症候群の診断における中心的な指標として位置づけられています。

総テストステロン

総テストステロンは、血液中に存在するテストステロンの総量(タンパク質と結合している分も含む)を示す値です。遊離テストステロンとあわせて測定することで、より正確にホルモンの状態を評価できます。診療の手引きの改訂により、海外基準との整合性から総テストステロンの数値も重視される方向になっています。

LH(黄体形成ホルモン)・FSH(卵胞刺激ホルモン)

LHとFSHは、脳の下垂体から分泌され、精巣にホルモン分泌を促す指令を出すホルモンです。テストステロンが低い場合に、精巣そのものに原因があるのか(原発性:LH・FSHが上昇)、下垂体・視床下部に原因があるのか(続発性:LH・FSHが低値)を鑑別するために測定します。

PSA(前立腺特異抗原)

PSAは前立腺の状態を反映する腫瘍マーカーで、テストステロン補充療法(TRT)を開始する前に必ず確認する項目です。前立腺がんが隠れている状態でテストステロンを補充すると病状を進行させるおそれがあるため、治療開始前のスクリーニングとして、また治療開始後も定期的なモニタリング項目として測定します。

※保険診療では、明らかな異常がない限り毎回測定するものではなく、初回測定を基本とした運用が一般的です。詳しくは保険診療と自費診療でできる検査の違いをご覧ください。

安全性を確認する検査(肝機能・腎機能・貧血)

テストステロン補充療法を安全に行うために、ホルモン値以外にも、体への影響をモニタリングするための検査を行います。

肝機能(AST・ALT・γ-GTPなど)

テストステロン補充療法では肝機能に影響が出ることがあるため、治療開始前の状態把握と、治療開始後の安全性モニタリングを目的に、一般的に定期検査の項目に含まれます。

腎機能(クレアチニン・eGFRなど)

腎機能検査は、薬剤の代謝・排泄能力を確認し、治療を安全に行うための基礎情報として、他の血液検査とあわせて一般的に測定します。

貧血(血算・ヘモグロビンなど)

テストステロン補充療法には、赤血球の産生を促す作用があり、治療を続けることで赤血球増多症(多血症)が起こることがあります。そのため、治療開始前のベースライン値の把握と、治療開始後の定期的なモニタリングの両方の意味で血算を確認します。海外の臨床指針では、ヘマトクリット値が50〜54%を超えないよう定期的にチェックすることが推奨されています。

代謝関連の検査(脂質・HbA1c)

脂質(LDL・HDL・中性脂肪など)

テストステロンは脂質代謝と関連することが知られています。メタ解析の報告では、テストステロン補充によって総コレステロールがやや低下する一方、HDL(善玉)コレステロールも低下する可能性が示されており、心血管リスクの評価・管理の一環として測定します。

HbA1c(血糖)

加齢に伴うテストステロンの低下は、内臓脂肪型肥満やインスリン抵抗性の悪化と関連し、メタボリックシンドロームや2型糖尿病の発症・進展に関わる要因の一つと考えられています。血糖コントロールの状態を把握する目的でHbA1cを測定します。

甲状腺機能検査

甲状腺機能低下症は、疲労感・気分の落ち込み・集中力低下など、男性更年期障害とよく似た症状を引き起こすことが知られています。TSH・FT4などの甲状腺ホルモンを測定することで、この甲状腺疾患を除外し、正確な診断につなげます。

保険診療と自費診療でできる検査の違い

保険診療で行う血液検査は、医療保険の点数制度のしくみ上、症状の評価に必要な範囲に絞って実施するのが一般的です。内分泌学的検査(ホルモン検査)は一度に測定できるのは4項目までとなっており、総テストステロンと遊離テストステロンの同時測定は保険診療では行えません。PSAについても、保険診療では初回の1回のみ測定が認められています。

検査項目 保険診療での一般的な運用 自費診療
総テストステロン・遊離テストステロン 同一日にまとめての測定は多くの医療機関で行われていない 組み合わせての測定が可能
PSA 初回測定が基本。異常がなければ毎回は測定しない ご希望に応じて測定可能
肝機能・腎機能・脂質・HbA1c・甲状腺・貧血など 症状評価に必要な範囲で実施 メタボリック関連項目など幅広く一度に測定可能

「まずは保険診療で調べたいが、より幅広く一度に調べたい」という方には、自費診療で検査を追加するという選択肢もあります。

保険診療を否定するものではなく、目的やご希望に応じてお選びいただけます。詳しくは診察時に医師へご相談ください。

※上記は保険診療の一般的な運用に関する情報であり、医療機関や個々のケースにより異なる場合があります。正確な適用可否・算定については、受診時に医師・医療機関へご確認ください。

よくある質問

Q. 検査は当日に受けられますか?

A. 可能です。当日の問診のうえで、必要な検査を行います。原則午前中の採血をおすすめしています。

Q. 検査結果はいつわかりますか?

A. 初診の約1週間後の2回目の診察で、検査結果をご説明します。

Q. すべての項目を保険診療で調べてもらえますか?

A. 保険診療では、症状の評価に必要な範囲での測定が基本となります。より幅広い項目をまとめて調べたい場合は、自費診療という選択肢もあります。詳しくは診察時にご相談ください。

Q. PSAの数値が高いとどうなりますか?

A. PSAが高い場合は、前立腺のエコーや画像検査で前立腺がんの可能性を除外したうえで、治療方針を検討します。

参考文献

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