妊孕性は何歳まで期待できる?|クロミフェン・hCG・TESEによる男性不妊治療をエビデンスで解説
「テストステロンが低い」
「TRTを受けたい。でも将来子どもも欲しい」
男性更年期障害(LOH症候群)の診療では、このようなご相談を受けることが少なくありません。
実は、テストステロン補充療法(TRT)は精子形成を抑制する可能性があります。
一方で、クロミフェン(Clomiphene)やhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、自分自身の精巣機能を活性化し、妊孕性(妊娠する力)を維持・回復させることを目的として使用される治療です。
今回は、男性不妊治療の現状と「何歳まで妊娠が期待できるのか」を、現在のエビデンスをもとに解説します。TRTを検討中の方は▶ 男性更年期障害(LOH症候群)の症状・検査・治療もあわせてご確認ください。
クロミフェンとは?
クロミフェンは選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)です。
脳(視床下部・下垂体)でエストロゲンのネガティブフィードバックを抑えることで、
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LH
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FSH
の分泌を促し、結果として
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テストステロン産生
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精子形成
の両方を刺激します。
近年のメタアナリシスでは、精子濃度や精子運動率を改善することが示されており、安全性も比較的高いとされています。
日本では男性の使用に関して保険診療では認められていません。年齢との関係はクロミフェンやhCGと年齢で詳しく解説しています。
hCGは「LHの代わり」
hCGは、精巣のライディッヒ細胞を刺激しテストステロン産生を促進します。
さらに必要に応じてFSH製剤を組み合わせることで、精子形成をより強く促すことがあります。
特に、
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TRT中止後
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低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
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一部の男性不妊
では重要な治療選択肢です。
近年ではテストステロン投与中に精巣の機能低下の予防のために併用するケースもあります。TRT後の回復についてはTRT後のPCTによる精子形成やホルモン回復をご覧ください。
クロミフェンとhCGを組み合わせる理由
近年では、クロミフェン単独では反応が不十分な場合に、hCGを追加する治療がよく行われます。
これにより、
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テストステロン
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LH・FSH
-
精子形成
を総合的に改善できる可能性があります。
TRTやアナボリックステロイド使用後の無精子症でも、クロミフェン+hCG治療によって精子が再び確認できる例が多数報告されています。各薬剤の特徴は各種AASの特徴についても参考にしてください。
妊孕性は何歳まで期待できる?
これは非常によく聞かれる質問です。
結論から言えば、
男性には女性のような明確な閉経はありません。
そのため、年齢だけで
「もう妊娠は無理」
とは言えません。
一方で加齢とともに
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精液量
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精子運動率
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正常形態率
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DNA損傷率
は徐々に悪化することが、多くの研究で示されています。
実際には何歳くらいまで妊娠している?
日本を含めたART(生殖補助医療)のデータでは、男性不妊外来を受診する患者さんの年齢は30〜40代が中心です。
一方で、自然妊娠・体外受精ともに、50代でも父親になる方は珍しくありません。
さらに海外では
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60代
-
70代
で父親となった例も報告されています。
著名人でも、
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Robert De Niro は79歳で子どもをもうけ、
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Al Pacino は83歳で父親となりました。
ただし、これらはあくまで「チャンピオンケース(例外的な成功例)」です。
一般的には40代後半以降になると、自然妊娠までの期間が長くなり、流産率や一部の先天性・神経発達疾患のリスクもわずかに上昇することが知られています。
年齢だけで諦める必要はありません
重要なのは、
年齢だけでは妊孕性は判断できない
ということです。
60歳でも良好な精液所見の方がいる一方で、30代でも無精子症の方もいます。
そのため実際には
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精液検査
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ホルモン検査
-
超音波検査
などを組み合わせて評価することが重要です。
TESE(精巣内精子採取術)という選択肢
精液中に精子が確認できない
無精子症
であっても、必ずしも「子どもを持てない」というわけではありません。
近年では、
micro-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)
によって、精巣内から精子を採取できることがあります。
採取した精子は、顕微授精(ICSI)に使用できます。
また一部の非閉塞性無精子症では、クロミフェンやhCGなどのホルモン治療を行うことで、TESEによる精子回収率が改善したという報告もあります。
一方で、最近の研究ではすべての患者さんで効果があるわけではなく、利益が限られる可能性も示されており、適応の見極めが重要です。
TRT中でも妊孕性を守る方法はある?
将来的に妊娠を希望される方では、療開始前から妊孕性について相談することが重要です。
患者さんによっては、
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クロミフェン
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hCG
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TRTとの併用
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TRTからクロミフェン・hCGへの切り替え
などを検討することがあります。
治療方法は、年齢やホルモン値、妊娠希望時期によって異なります。
まとめ
男性の妊孕性は加齢とともに徐々に低下しますが、女性のように明確な「妊娠できなくなる年齢」はありません。
クロミフェンやhCGは、自分自身の精巣機能を活性化し、精子形成を維持・改善するための重要な治療選択肢です。
また、無精子症であっても、TESEや顕微授精など、生殖医療は大きく進歩しています。
「年齢が高いから無理」と決めつける必要はありません。
妊娠を希望される方、TRTを検討している方、過去にテストステロン製剤やアナボリックステロイドを使用したことがある方は、まず現在の精巣機能を評価し、ライフプランに合わせた治療方針を一緒に考えることが大切です。
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