大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック
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テストステロンと美容



テストステロンは美容の敵?味方?|肌・ニキビ・シミ・ハリとの関係をエビデンスで解説

「男性ホルモンは肌に悪い」は本当でしょうか?

「テストステロンが高いとニキビができる」

「男性ホルモンは美容の敵」

このようなイメージを持っている方は少なくありません。

確かに、男性ホルモンには皮脂分泌を増やし、ニキビを悪化させる一面があります。

しかし一方で、近年の研究では、

  • 肌のハリ

  • コラーゲン

  • 筋肉由来マイオカイン

  • 皮膚の厚み

  • バリア機能

などにも関与することが分かってきました。

つまりテストステロンは「多すぎても少なすぎても肌に良くない」ホルモンなのです。

今回は、美容とテストステロンの関係を最新のエビデンスからご紹介します。肌の乾燥や疲労感など男性更年期の症状が気になる方は▶ 男性更年期障害(LOH症候群)の症状・検査・治療もご確認ください。

テストステロンは皮脂分泌を高めるためニキビや脂性肌に関わる一方、不足すると筋肉量・体型・活力・清潔感の低下につながる。過不足のどちらもデメリットがあり、適正域を保つことが大切。
テストステロンは高すぎても低すぎても見た目に影響します。皮脂・ニキビは高い側、体型や活力の低下は低い側の問題で、適正域を保つことが大切です。

テストステロンとDHTは違うホルモンです

まず知っておきたいのが、テストステロンとジヒドロテストステロン(DHT)は同じではありません。

テストステロンは、筋肉や骨、活力、性機能などに重要な男性ホルモンです。

一方、DHT(ジヒドロテストステロン)は、テストステロンが5α還元酵素によって変換されてできるホルモンです。

DHTは皮膚や毛包で強く作用し、

  • 皮脂分泌

  • ニキビ

  • 脂漏性皮膚炎

  • AGA(男性型脱毛症)

などに深く関わっています。

抜け毛とも関連があります。

つまり美容で問題になりやすいのは、テストステロンそのものというより、皮膚で産生されるDHTであることが少なくありません。DHTとAGAの関係はAGAとテストステロン補充療法(TRT)についてで詳しく解説しています。


テストステロンは肌にハリを与える

男性の皮膚は、女性より約10〜20%厚いことが知られています。

この違いには、テストステロンが

  • 真皮コラーゲン合成

  • 線維芽細胞の働き

  • 皮膚の厚み

を維持していることが関係すると考えられています。

そのため、テストステロンが低下すると

  • 肌のハリ低下

  • 小ジワ

  • 乾燥

が目立ちやすくなることがあります。


テストステロン不足では乾燥肌になりやすい

男性更年期障害(LOH症候群)の方では、皮脂分泌が低下し、

  • 肌の乾燥

  • 赤み

  • バリア機能低下

  • かゆみ

などを訴えることがあります。

皮脂は「悪者」のように思われがちですが、実際には肌の潤いを保つ天然の保湿成分でもあります。

適度な皮脂は健康な肌には欠かせません。


DHTが増えるとニキビができやすくなる

一方で、DHTは皮脂腺を刺激し皮脂分泌を増加させます。

皮脂が増えることで

  • 毛穴詰まり

  • Cutibacterium acnes(アクネ菌)の増殖

  • 炎症

が起こり、ニキビができやすくなります。

TRT開始後にニキビが増える方がいるのも、皮膚でDHTが増えることが一因と考えられています。

ただし、すべての方に起こるわけではなく、皮脂腺の感受性や遺伝的要因も大きく影響します。


筋肉は「美容臓器」かもしれません

近年、筋肉から分泌される

マイオカイン

が美容分野でも注目されています。

その一つが

Myonectin(CTRP15)

です。

Myonectinは、運動や筋力トレーニングによって増加する筋肉由来マイオカインの一つで、脂質代謝への関与が報告されています。

「筋肉量が多いほどシミが少ない」「Myonectinがシミを減らす」といった主張を裏付ける確立したヒト臨床データは、現時点では確認されていません。これはあくまで仮説の段階であり、筋肉とマイオカインが皮膚の状態に間接的に関わる可能性が議論されている、というのが正確なところです。

現時点では、有望な研究テーマですが、今後の臨床研究が期待される分野です。筋トレと美容の関係は筋トレの美容効果でも解説しています。


TRTでニキビが気になる方は?

男性更年期障害に対するTRTでは、活力や筋肉量が改善する一方、ニキビや皮脂分泌が増える方もいます。

その場合には、通常のニキビ治療に加えて、AGA治療でも用いられる

デュタステリド

が選択肢になる場合があります。

デュタステリドは、5α還元酵素を阻害し、テストステロンからDHTへの変換を抑える薬です。

そのため、

  • AGA

  • 皮脂分泌

  • DHTの影響

を軽減できる可能性があります。5α還元酵素阻害薬のテストステロンへの影響についてはこちらをご覧ください。

ただし、すべての方に必要なわけではなく、妊孕性や副作用も考慮しながら医師と相談して使用することが重要です。


「高い方が良い」「低い方が良い」ではありません

美容のためにテストステロンを極端に増やしたり、逆に過度に抑えたりすることはおすすめできません。

理想は、生理的な正常範囲を維持することです。

そのためには、

  • 良質な睡眠

  • レジスタンストレーニング

  • 有酸素運動

  • 適正体重の維持

  • 十分なタンパク質

  • ビタミンD

  • 亜鉛

など、日々の生活習慣を整えることが基本になります。テストステロンを上昇させる生活習慣もあわせてご覧ください。

必要に応じてTRTやAGA治療を組み合わせることで、健康と美容の両立を目指すことも可能です。


まとめ

男性ホルモンは、ニキビやAGAの原因になることがある一方で、肌の厚みやハリ、コラーゲン維持、皮膚のバリア機能にも重要な役割を果たしています。

また、筋トレによって増える筋肉由来マイオカインが皮膚の状態にも良い影響を与えうるという仮説があり、筋肉は「美容臓器」としても注目され始めていますが、ヒトでの直接的な証明はまだこれからの段階です。

大切なのは、テストステロンを過剰に増やすことでも、極端に抑えることでもありません。

ご自身に合った適切なホルモンバランスを維持し、必要に応じてDHTをコントロールすることが、健康と美容の両方につながると考えられます。



参考文献

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  2. Zouboulis CC, et al. Androgen action on human skin—from basic research to clinical significance. Exp Dermatol. 2004.

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  4. Bonomo M, et al. Dermatological adverse effects of testosterone replacement therapy: a scoping review of the literature. Sex Med Rev. 2025.

  5. Magkou S, et al. Skin manifestations of hyperandrogenism: an update. Hormones (Athens). 2026.

  6. Seldin MM, Peterson JM, Byerly MS, Wei Z, Wong GW. Myonectin (CTRP15), a novel myokine that links skeletal muscle to systemic lipid homeostasis. J Biol Chem. 2012;287(15):11968-11980.(PMID: 22351773)

  7. Understanding the Secular Decline in Testosterone: Mechanisms, Consequences, and Clinical Perspectives. Int J Mol Sci. 2025.

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