大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック
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握力と健康寿命、テストステロン

握力は「健康寿命のバロメーター」|テストステロンとの関係をエビデンスで解説

握力は「手の力」だけではありません

健康診断やスポーツテストで測定する握力。

「腕の筋力を測る検査」と思われがちですが、実は近年握力は

  • 健康寿命
  • サルコペニア
  • フレイル
  • 心血管疾患
  • 全死亡率

とも関連することが数多く報告されています。

さらに男性ではテストステロン値とも関連する可能性が示されています。

今回は握力と男性ホルモンの関係について解説します。


握力は全身の筋力を反映する

握力は前腕だけの筋力ではありません。

実際には、

  • 全身の筋肉量
  • 神経と筋肉の協調性
  • 加齢による筋力低下

などを反映する簡便な指標です。

そのため、サルコペニア診療ガイドラインでも、握力は筋力評価の第一選択として推奨されています。

特別な機械を必要とせず数十秒で測定できるにもかかわらず、健康状態をよく反映する優れた検査です。


握力が強い人ほど長生き?

近年の大規模研究では、握力が低い人ほど

  • 全死亡率
  • 心血管疾患
  • 呼吸器疾患
  • がん死亡

のリスクが高いことが報告されています。

もちろん、「握力が強いから長生きする」という因果関係を証明したわけではありません。

しかし握力は身体機能や筋肉量、生活習慣を反映する重要な健康指標であることは間違いありません。


テストステロンと握力の関係

テストステロンは

  • 筋タンパク質合成
  • 神経筋機能
  • 筋力維持

に重要な役割を果たしています。

そのため男性ホルモンが低下すると

  • 筋肉量減少
  • サルコペニア
  • 握力低下

が起こりやすくなります。

実際に、観察研究ではテストステロンが低い男性ほど握力が低い傾向が報告されています。

特に男性更年期障害(LOH症候群)の患者さんでは、筋力低下を自覚する前から握力が低下していることがあります。

男性更年期障害の症状・検査については男性更年期障害(LOH症候群)のページで解説しています。


TRTで握力は改善する?

テストステロン補充療法(TRT)は、筋肉量を増やすだけでなく、筋力改善も期待されています。

複数の臨床試験では、TRTによって

  • 除脂肪体重増加
  • レッグプレス
  • ベンチプレス

などの筋力改善が報告されています。

一方握力については改善を認めた研究と認めなかった研究があり、現時点では結果は一致していません。

つまりTRTだけで握力が大きく改善するとは言い切れませんが、筋トレと組み合わせることでより大きな効果が期待されます。

筋トレと男性ホルモンの関係は筋トレとテストステロン、サルコペニア予防は骨粗鬆症やサルコペニア予防の筋トレとテストステロンをご覧ください。


握力を維持することが健康寿命につながる

握力が低下すると実生活でも

  • 重い荷物を持てない
  • 転倒しやすい
  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 運動量が減る

という悪循環が始まります。

これが進行すると、サルコペニアやフレイルにつながり健康寿命を縮める原因になります。

握力は単なるスポーツ能力ではなく、「将来も自分の足で生活できるか」を映す指標とも言えます。


握力を高めるには?

握力を維持・向上させるには、握力トレーニングだけでは不十分です。

重要なのは、全身の筋肉を鍛えることです。

おすすめは、

  • スクワット
  • デッドリフト
  • 懸垂(ラットプルダウン)
  • ファーマーズウォーク
  • ダンベルやケトルベルを持った歩行

など、全身を使うレジスタンストレーニングです。

さらに、

  • 十分なタンパク質摂取
  • クレアチン
  • 良質な睡眠
  • 適正体重の維持

も筋力維持には重要です。

男性更年期障害が疑われる方ではテストステロンを測定し、必要に応じてTRTを検討することも選択肢になります。


自宅でも簡単にチェックできます

握力計は比較的安価で、家庭用の製品も多く販売されています。

毎月測定してみると、筋トレや減量の成果だけでなく、体調の変化にも気付きやすくなります。

年齢とともに少しずつ低下するのは自然ですが、急激な握力低下は、運動不足やサルコペニア、男性ホルモン低下のサインである可能性もあります。


握力の偏差値をチェックする(同年代の平均と比較)

性別・年齢と左右の握力を入力すると、スポーツ庁「令和5年度 体力・運動能力調査」の同性・同年代の平均値と比べた偏差値の目安を表示します。握力計で左右それぞれ2回ずつ測り、それぞれ良い方の記録(kg)を入力してください。

この計算は診断ではなく、握力の水準を同年代の平均と比べるための目安です。入力値と計算結果はお使いの端末の中だけで処理され、送信・保存されません。
性別
歳(20〜79)
kg
kg
年代別・男女別の握力の平均値(一覧)
年代 男性 平均(±標準偏差) 女性 平均(±標準偏差)
20〜24歳 44.1(±7.5)kg 26.8(±4.7)kg
25〜29歳 45.6(±7.4)kg 27.7(±5.0)kg
30〜34歳 45.7(±7.6)kg 27.8(±4.8)kg
35〜39歳 46.3(±7.1)kg 28.1(±4.6)kg
40〜44歳 45.8(±7.0)kg 28.2(±4.7)kg
45〜49歳 45.3(±6.7)kg 27.8(±4.5)kg
50〜54歳 44.3(±6.6)kg 27.1(±4.5)kg
55〜59歳 43.4(±6.4)kg 26.8(±4.3)kg
60〜64歳 41.9(±6.0)kg 26.1(±4.2)kg
65〜69歳 39.4(±5.9)kg 25.1(±3.9)kg
70〜74歳 37.5(±6.0)kg 23.7(±4.0)kg
75〜79歳 35.1(±5.8)kg 22.8(±4.0)kg

出典:スポーツ庁「令和5年度 体力・運動能力調査」年齢別テストの結果(握力)。数値は左右それぞれ良い方の記録の平均です。


当院からのメッセージ

握力は、「手の力」を測るだけの検査ではありません。

現在では、

  • 筋肉量
  • サルコペニア
  • 健康寿命
  • 全死亡率

とも関連することが分かっており、

男性ではテストステロン低下との関連も注目されています。

「最近、ペットボトルの蓋が開けにくくなった」

「筋力が落ちた気がする」

そんな変化を感じたら、年齢のせいと決めつけず、運動習慣や栄養を見直すこと、そして必要に応じて遊離テストステロンを含めた採血を受けることをおすすめします。

採血項目の見方は男性ホルモン・TRT関連検査の基準値一覧で解説しています。

筋力は何歳からでも改善できます。

握力を維持することは、未来の健康寿命を守る第一歩になるかもしれません。


参考文献

電話 03-5224-6672 LINEで予約