大手町の内科・男性更年期障害(テストステロン治療)専門クリニック

男性更年期の治療一覧

男性更年期障害(LOH症候群)の治療|生活習慣改善・漢方・テストステロン補充療法(保険/自費)・PCT

男性更年期障害(LOH症候群)の治療は、生活習慣の改善、漢方薬、テストステロン補充療法(TRT:保険診療・自費診療)、PCT(治療中止後のケア)などから、症状・検査結果・原因・目的・妊娠の希望に応じて選びます。「テストステロンが低い=全員が注射」ではありません。このページは、当院の男性更年期外来の治療選択のガイドです。各治療の詳細は子ページへリンクしています。

男性更年期の治療は一人ひとり異なります

治療は、いきなり薬から始めるのではなく、次の流れで決めていきます。

男性更年期障害の治療を選ぶ流れ。症状→問診・AMSスコア→血液検査→LOH診断→原因評価→治療開始→生活習慣改善・漢方・保険TRT・自費TRT・PCTへ分岐
「テストステロンが低い=全員が注射」ではなく、原因と目的、妊娠の希望に応じて治療を選びます。
  1. 症状の確認・AMSスコア:疲労感・性欲低下・ED・気分の落ち込み・筋力低下などを問診とAMSスコアで評価します。
  2. 診察・血液検査:遊離テストステロンなどの男性ホルモン、貧血、肝腎機能、PSA、必要に応じて甲状腺・血糖・亜鉛・ビタミンDなどを測定します(男性更年期の検査について)。
  3. 原因を評価:似た症状の病気(うつ病・甲状腺疾患・睡眠時無呼吸など)を除外し、テストステロン低下の原因を評価します。
  4. 治療を選択:原因・目的・妊娠の希望に応じて、生活習慣改善/漢方/保険TRT/自費TRT/PCT/男性不妊治療 へ進みます。

テストステロンが低いからといって、全員が注射治療になるわけではありません。肥満・睡眠不足・薬剤など可逆的な原因があるときは、まずその改善を優先します。

男性更年期は原因によって治療が異なります

まず原因の検索を行うことが重要です。原因が分かれば、テストステロン補充以外の選択肢が見えてきます。

主な原因 優先される治療
加齢による性腺機能低下(LOH) テストステロン補充療法(TRT)+生活習慣改善
睡眠不足・不眠 睡眠習慣の改善、不眠の治療
睡眠時無呼吸症候群(SAS) CPAP治療
肥満・内臓脂肪 減量(食事・運動)、必要に応じて肥満治療
ビタミンD欠乏 ビタミンD補充
亜鉛欠乏 亜鉛補充
高プロラクチン血症 原因の検索(薬剤・甲状腺・下垂体)と原因治療
下垂体疾患(腺腫など) 専門医療機関への紹介・精査

これらの要因は重なっていることが多く、生活習慣の改善とTRTを組み合わせることもあります。

男性更年期で選択される治療(全体マップ)

当院で行っている治療の全体像です。各カードから詳しい子ページへ移動できます。

① 生活習慣の改善

睡眠・減量・運動・節酒・禁煙・栄養。軽症や可逆的な要因が中心の場合の第一歩です。

② 漢方薬

冷え・のぼせ・不定愁訴・軽症の方。体質と症状に合わせて処方します。漢方外来

③ 保険TRT(注射)

LOH症候群と診断され、治療が必要な方。テストステロンエナント酸エステルの筋肉注射。

④ 自費TRT

保険基準を満たさない方、クリーム製剤や柔軟な調整を希望する方。自費TRT

⑤ PCT

TRT中止時や妊娠希望時に、休んでいた精巣機能の回復を助けます(hCG・クロミフェンなど)。PCTについて

⑥ 男性不妊治療

妊娠を希望される方は、テストステロン単体ではなくhCGなどを用います。男性不妊外来

治療の基本は生活習慣の改善です

テストステロンの低下、特に肥満や睡眠に関連する続発性(機能性)のものは、生活習慣の改善で数値と症状が戻ることがあります。ガイドラインでも、基礎疾患の治療と生活習慣の見直しが治療の基本とされています。TRTを行う場合も、生活習慣の改善は並行して続けます。

睡眠

テストステロンは睡眠中に多く分泌されます(睡眠とテストステロン不眠症の治療とテストステロン)。

肥満改善

内臓脂肪はテストステロンを女性ホルモンに変換します。5〜10%の減量でも改善が報告されています(肥満と男性更年期障害の関係)。

筋力トレーニング

筋肉量の維持と体脂肪の減少に有効です(筋トレとテストステロン)。

有酸素運動

肥満・インスリン抵抗性の改善に有効です(有酸素運動とテストステロン)。

禁煙・節酒

過度の飲酒はテストステロンを下げます。喫煙は血管機能に悪影響です(禁煙外来)。

ストレス対策

慢性的なストレスはコルチゾールを上げ、テストステロンを抑えます(メンタルヘルスとテストステロン)。

睡眠時無呼吸症候群の治療

CPAP治療で夜間の低酸素が改善するとテストステロンも回復しやすくなります(睡眠時無呼吸症候群)。

糖尿病・高血圧の管理

血糖・血圧のコントロールは全身の健康とテストステロン環境の両方に大切です(糖尿病高血圧)。

ビタミンD・亜鉛・マグネシウム

欠乏があれば補充で改善が期待できます(ビタミンDとテストステロン亜鉛とテストステロン)。足りている方が追加でとっても大きな効果は期待できません。

生活習慣の総合的なアプローチはテストステロンを上げる方法で解説しています。

テストステロン補充療法(TRT)を詳しく

TRTは、低下したテストステロンを補い、症状の改善を目指す治療です。日本で男性更年期障害(LOH症候群)に保険承認されているのはテストステロンエナント酸エステルの筋肉注射です。

  • 注射間隔:保険診療では通常2〜4週間ごと。症状の波や血液検査を見て調整します。
  • 保険製剤/自費との違い:保険は注射のみ・投与量と頻度に範囲があります。自費では注射に加えクリーム(外用)が選べ、投与量・頻度の制限がありません。
  • 効果が出るまでの期間:性欲は数週間、活力は1〜2か月、筋力は数か月が目安です(下の治療効果が現れる時期)。
  • 中止できるか:できます。中止すると数週間〜数か月で元に戻ります。中止時はPCTをご案内することがあります。
  • 副作用:多血症(赤血球増加)、ニキビ、むくみ、女性化乳房、睡眠時無呼吸の悪化、精子形成の抑制など。多くは投与量の調整とモニタリングで管理できます。
  • E2(エストラジオール)管理:胸の張り・むくみなどがあるときに測定し、必要に応じて投与量を調整します。
  • PSA管理:開始前に確認し、治療中も定期的にモニタリングします。急な上昇があれば泌尿器科で精査します。
  • ヘマトクリット(Hct)管理:50〜54%を超えないよう定期チェックし、超える場合は減量・休薬や瀉血を検討します。

投与量・投与方法の考え方はTRTの最適な投与量とは?、効果・注意点・費用はTRTについてで詳しく解説しています。

漢方治療

漢方薬は、テストステロンそのものを大きく上げるものではありませんが、冷え・のぼせ・不眠・不安・倦怠感などの不定愁訴や、TRTの適応にならない軽症の方に選択肢となります。体質(証)と症状に合わせて処方します。

漢方薬 向いていることが多い方
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 疲れやすい、食欲がない、気力が出ない(気虚タイプ)
八味地黄丸(はちみじおうがん) 加齢に伴う下半身の衰え、頻尿、腰のだるさ、性機能の低下(腎虚タイプ)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 不安・いらだち・不眠・動悸をともなう、比較的体力がある方

詳しくは漢方外来をご覧ください。西洋薬(TRT)との併用も可能です。

自費TRTを選ぶケース

保険診療がTRTの基本ですが、次のような方は自費診療を選ばれることがあります。「自費の方が優れている」ということではなく、目的やご希望に応じた選択です。

  • テストステロンが基準内だが、症状が強く、生活の質(QOL)の改善を目的とする方
  • 筋力・体力の維持を重視する方
  • クリーム製剤など、注射以外の方法を希望する方
  • 投与量・頻度をより細かく調整したい方
  • 海外勤務・出張が多く、通院間隔や投与計画に柔軟性が必要な方
  • 保険診療より短い間隔での採血・フォローを希望する方
  • 競技・パフォーマンス目的(保険適用外)の方

詳しくは自費TRTについてをご覧ください。

PCT(治療中止後・妊娠希望時のケア)

TRT中は、脳が「体内に十分テストステロンがある」と判断し、自分の精巣への指令(LH・FSH)を止めてしまいます。そのため、中止時や妊娠希望時に精巣機能の回復を助けるのがPCTです。

  • いつ必要か:TRTを中止するとき、妊娠を希望するとき、中止後の体調変化が心配なとき。
  • 不要なケース:短期間の使用のみだった方、もともと精巣機能が低く回復が見込みにくい方、TRTを長期継続する方。
  • 妊孕性との関係:TRTは精子形成を強く抑制します。妊娠希望がある間はTRTを避け、hCGなどで精巣を刺激する方法に切り替えます。
  • hCG:精巣を直接刺激してテストステロンと精子形成を促します。
  • クロミフェン(クロミッド):下垂体を介してLH・FSHの分泌を高め、自分のテストステロン産生を促します。

詳しくはPCTについて妊孕性とTRT・PCTをご覧ください。

治療の比較表

治療 保険 自費 妊孕性への影響 通院
テストステロン補充(TRT) ○(注射) ○(注射・クリーム) △(精子形成を抑制) 2〜4週ごと+定期採血
hCG × ◎(精巣機能・精子形成を保つ) 必要
漢方薬 ○(影響しにくい) 比較的少ない
生活習慣の改善 ◎(むしろ良い影響) 不要(定期評価は推奨)

保険診療と自費診療の検査・費用の違いは男性更年期障害は保険適用になる?で詳しく解説しています。

治療開始後のスケジュール

1
初診・採血

診察と血液検査。結果は約1週間後にご説明します。

2
約1週間後:診断・治療開始

LOH症候群と診断され、治療を希望される場合はテストステロン注射を開始します(通常2〜4週間ごと)。

3
1〜2か月後:採血・効果評価

症状の変化と、安全性の項目(Hct・PSA・E2・肝機能)を確認します。

4
用量・間隔の調整

効果と副作用のバランスを見て、投与量・間隔を調整します。

5
安定後:半年ごとの評価

安定後は数か月〜半年ごとに通院し、定期的な採血を続けます。中止・妊娠希望の際はPCTをご案内します。

TRT中に定期的に確認する検査

項目 確認する理由
PSA(前立腺特異抗原) 前立腺の安全性の評価。急な上昇があれば泌尿器科で精査
血算(ヘモグロビン・ヘマトクリット) 多血症(赤血球の増えすぎ)の有無。Hct 50〜54%が管理の目安
エストラジオール(E2) 女性化乳房・むくみなど、エストロゲン過剰の兆候
肝機能(AST・ALT) 安全性の確認
腎機能(クレアチニン・eGFR) 全身状態の評価
テストステロン(トラフ値など) 投与量が適切か

各項目の基準値は検査基準値一覧で解説しています。

治療効果が現れる時期

効果には個人差があり、下記はあくまで一般的な目安です。

効果 現れ始める時期の目安
性欲(性への関心) 数週間
活力・疲労感 1〜2か月
気分・抑うつ感 数週間〜数か月
筋力・体組成 数か月
骨密度 半年〜2年

数か月続けても症状が改善しない場合は、診断を見直し、他の原因がないかを再評価します。

どの治療を選ぶか迷ったら

患者さんの状況によって、出発点となる治療は異なります(あくまで目安で、検査結果により変わります)。

疲労感・不調が主体で、数値は保たれている

→ まず生活習慣の改善(+必要に応じて漢方)。睡眠・肥満・SASの評価を優先します。

症状があり、テストステロンが低値

保険TRTが基本。生活習慣の改善と並行します。

これから子どもを希望する

→ TRTは避け、hCGなど(PCT/男性不妊治療)で精巣機能を保ちます。

数値は基準内だが症状が強い/競技・QOL目的

自費TRTを含めて相談します。

当院で診療していて感じること

男性更年期外来を担当していて、医師として次のように考えています(個別の患者さんの体験談ではなく、一般化した臨床的な説明です)。

  • 症状の強さだけでは、重症度も、テストステロン低下が原因かどうかも判断できません。
  • テストステロンの数値だけでもなく、数値と症状を合わせて評価することが大切です。
  • 睡眠や肥満、睡眠時無呼吸の改善だけで、ホルモン値や症状が良くなる方がいます。
  • 一方で、適切なTRTによって生活の質が大きく改善する方もいます。
  • 「全員に同じ治療」ではなく、検査結果・症状・年齢・妊娠の希望を踏まえて治療方針を決めています。
  • 迷っている段階でも受診して構いません。まず原因を評価し、治療しないという選択肢も含めて一緒に考えます。

よくある質問

Q. TRTは一生続けますか?

A. 必ずしも一生ではありません。加齢が主な原因の場合は長期になることが多い一方、肥満・睡眠・薬剤など可逆的な原因が改善すれば中止できることもあります。

Q. 途中でやめられますか?

A. やめられます。中止すると数週間〜数か月かけて元の状態に戻ります。中止時はPCT(hCG・クロミフェンなど)をご案内することがあります。

Q. 保険診療と自費診療は変更できますか?

A. どちらの方向にも変更できます。保険→自費はより幅広い検査や柔軟な調整を希望する場合、自費→保険はLOH症候群と診断され保険適用の条件を満たす場合です。

Q. TRT中に子どもはできますか?

A. テストステロン補充は精子形成を強く抑制するため、そのままでは妊娠が難しくなります。妊娠を希望される場合は、精巣機能を保つhCGなどに切り替えます。

Q. 筋トレだけで改善しますか?

A. 肥満をともなう軽症では、筋トレと減量で数値と症状が改善することがあります。ただし、明らかな低値がある場合や下垂体・精巣の異常がある場合は、運動だけでは不十分です。

Q. サプリメントだけで治りますか?

A. ビタミンDや亜鉛は「欠乏がある場合」に補充で改善しますが、足りている方が飲んでも大きな効果はありません。マカ・トンカットアリなどのサプリに、男性更年期障害の治療として推奨できる十分なエビデンスはありません。

Q. 漢方だけでも改善しますか?

A. 冷え・のぼせ・倦怠感などの不定愁訴が主体の軽症では、漢方薬で楽になる方がいます。テストステロンが明らかに低い場合は、TRTの方が症状改善は期待できます。

Q. 何歳まで治療できますか?

A. 年齢の上限は定められていません。高齢でも、症状があり検査で低値が確認され、前立腺・多血症などの安全性に問題がなければ治療できます。開始前後の評価をより丁寧に行います。

Q. 女性ホルモンは測定しますか?

A. エストラジオール(E2)はテストステロンから体内で作られる女性ホルモンです。TRT中に胸の張り・むくみなどがあるときや、必要と判断したときに測定します。

Q. 治療しないという選択肢もありますか?

A. あります。症状が軽く、生活に大きな支障がない場合や、ご本人が経過観察を希望される場合は、生活習慣の改善をしながら定期的に評価する方法もあります。

参考文献

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