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テストステロンを上げる方法について

男性更年期障害の方や、アスリートの方などテストステロンを上昇させることに興味がある方がとても多いです。

スクワットのような無酸素運動、7時間以上の睡眠、不飽和脂肪酸を含めた食事など定番のものがありますが、今回は変わり種の精巣の冷却についてまとめます。

大手町の内科クリニックのコラムです。

金冷法などと言って、いわゆる金玉を冷やす方法は昔から注目されています。

1.陰嚢の温度と精子形成能の低下について

2.温度ごとの精巣機能の比較

3.テストステロン分泌と精子形成の違い

の順に記載します。


1.陰嚢の温度と精子形成能の低下について

高温環境での労働者に男性不妊が多いことや、陰嚢内の温度が上がると精子形成能が低下することが知られています。

(1965年の論文です。Effect of repeated increase of body temperature on human sperm cells.)

40度以上の高温下では精子を全く作られないというマウスでの研究データも報告されています。

そもそも精巣は体温より2~3度低い環境にするために、陰嚢に収容されて体外にぶら下がっていて、しわがあることで効果的に冷やしていると言われています。

こういった背景から、陰嚢を冷やすと精巣の機能が上がるのでは?と言われています。


2.温度ごとの精巣機能の比較

ヒト精巣機能における高温環境の影響

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/119740/1/34_1767.pdf

こちらの研究ではin vitroに33度と37度でライディッヒ細胞とセルトリ細胞の機能が低下しなかったことが報告されています。

ライディッヒ細胞は精子形成、セルトリ細胞はテストステロン分泌しています。

高温下では胚細胞の分化を直接的に障害したそうです。


3.テストステロン分泌と精子形成の違い

わかっている事として

1.高温環境で精子の造成機能が低下する

2.ライディッヒ細胞やセルトリ細胞の機能は変化しない(7日間の観察ですが)

3.高温環境で精子の分化は阻害される

ということなので、男性不妊の治療として陰嚢が34度程度になるよう冷やすことは有効かもしれません。

血中の遊離テストステロン濃度を上げて元気になりたい!という目的には微妙な印象です。

ただやって害はありませんので、冷やしすぎないよう取り組んでみるのが良いかも知れません。

高温環境となる長時間の運転や太ももにラップトップ置いての作業、また直接温められてしまうサウナや入浴には対策もセットで行うのがよさそうです。

ちなみに、PubMedで検索するとこのようにほとんどヒットしません。

ちなみに、トップにヒットしているラットの精巣を冷やした論文もポジティブな結果を得られていません。

Functional analysis of the cooled rat testis

体温との関連ならそれなりにあるのですが、冷やすことで機能が上昇するかは分からない(もしくは効果がなく発表できない)のが現状だと思います。

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