東京都千代田区大手町の内科・健康診断・予防接種

CPAPの効果

睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状がなくとも将来の心疾患のリスクを高くする状態です。

CPAPを使うことで昼間の眠気や疲れがとれるのですが、将来の健康リスクについてはどうなのでしょうか?


1 CPAP保険適応になった根拠

2 CPAPの効果を調べた追試

3 それらの結論

の順に記載します。

 

1 CPAP保険適応になった根拠

まずはじめに、CPAPが保険適応になるきっかけとなったエポックメイキングな論文からです。

Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study

http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.457.6415&rep=rep1&type=pdf

閉塞性の睡眠時無呼吸症候群の方の、心疾患リスクについて調べた論文です。

普段は比較的新しい論文を紹介しているのですが、これは2005年のものです。

CPAPが広まるきっかけになったエポックメイキングな論文です。

端的に言うと、重症の睡眠時無呼吸症候群があるととても心疾患のハイリスクとなります。

しかし、CPAPで睡眠を改善すると致死的な心疾患のリスクは健常者と変わらず、非致死的な心疾患のリスクは軽症の睡眠時無呼吸症候群の方と同じくらいになるというものです。

このグラフが当時衝撃的だったのだと思います。

「予後 Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study」の画像検索結果

severe OSAのリスクの高さと、CPAPによるリスクリダクションがすごいですね。

ざっくりいうと、重症のOSAがあると、健康な方の5倍ほど致死的な心疾患のリスクがあります。

それを健常人とほぼ同じレベルに抑えられていました。

 

これがきっかけになってCPAPは広まったのですが、その後の追跡調査では有効性を示せないものが続いています。

2 CPAPの効果を調べた追試

SAVE試験(2016年)

CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea

眠気のないOSAと冠動脈及び脳血管疾患のある患者さんでCPAP122例と対照群1341例の比較

結果:CPAPの効果を証明できなかった

ただし4時間異常使用した群では対照群よりも優位に冠動脈及び脳血管疾患のイベントを抑制

 

RICCADSA試験(2016年)

Effect of Positive Airway Pressure on Cardiovascular Outcomes in Coronary Artery Disease Patients with Nonsleepy Obstructive Sleep Apnea. The RICCADSA Randomized Controlled Trial

冠動脈血行再建術後の眠気のないOSA患者さんでCPAP122例と対照群122例での比較

結果:CPAPの効果を証明できなかった

ただしCPAP4時間以上使用のサブグループでは予後改善と優位に関連あり

 

ISAACC試験(2019年)

Effect of obstructive sleep apnoea and its treatment with continuous positive airway pressure on the prevalence of cardiovascular events in patients with acute coronary syndrome (ISAACC study): a randomised controlled trial

急性冠症候群とOSAがある患者さんでCPAP629例と対照群626例の比較

結果:CPAPの効果を証明できなかった

ただしCPAP群の使用時間が平均2.8時間と短い

 

3 それらの結論

3つの追試でいずれもCPAPの有効性が示せなかったのですが、

いずれもCPAP群の使用状況が悪いことが原因に考えられています。

眠気のあるOSA患者さんを対照群に割り付けるのは倫理的に問題があり(そもそも眠くて困ってる患者さんが同意すると思えません)、

眠気のないOSA患者さんのみで試験を行っているために使用状況が悪いと考えられます。

現時点で確実に言えるのは、

  • 睡眠時無呼吸症候群があると心血管疾患のリスクが高い
  • CPAPを導入しても使用時間が短いと(日中の眠気改善効果はあるが)心血管疾患を抑制する効果は得られない

  (何時間だと無効かは不明だが、2.8~4.0時間の間にありそう)

 

高確率に言えそうなこととして、

  • CPAPは使用時間が4時間を超えれば心血管疾患イベント抑制効果がありそう

でしょうか。

余談ですが、効果を証明することは少し難しそうです。

既に効果が確認されている治療法(=CPAP)を無作為割付で比較試験を行うことは倫理的に不可能です。

導入患者さんの使用状況で使用時間ごとにグループ分けして、

グループ間の心血管疾患イベントをアウトカムにしたCOX比例ハザードモデルを使った生存時間解析などが良いのかも知れません。

専門家から良い研究が出ることを期待しています。

 

現実には、重症の睡眠時無呼吸症候群があっても治療していない方もたくさんいます。

将来のリスクと言われてもピンとこないというのが一つの原因かと思います。

自覚症状としても、疲れが取れやすくて元気になるという方がいて、そういう方は継続率が高いです。

 

重症の睡眠時無呼吸症候群がありCPAPを行っていない場合、9年後に10%、12年後に15%の方に致死的な心疾患のイベントが起きています。

CPAPで防ぐよう取り組みたいですね。

一つの目標は、4時間以上使用率が70%を超えることです。

頑張って取り組みましょう!

  • CPAP使用のよくある障害は、
  • 鼻炎による鼻閉、鼻汁
  • 感想による鼻や喉の痛み
  • 圧や開口による腹部膨満感
  • 目の乾燥
  • マスクによる皮膚トラブル

があります。

いずれも機会の設定や変更、治療薬の追加で対応できます。

お気軽にご相談下さい。

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