コロナワクチンについて
コロナワクチンの臨床試験の結果が出ています。
バイオエヌテックのmRNAワクチンは世界初の画期的なものです。
mRNAに関する簡便な説明と、開発・製造の経緯もドラマチックなのでご紹介します。
大手町の内科クリニックのコラムです。
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コロナワクチンの臨床試験の結果
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mRNAワクチンとは
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mRNAワクチンの開発の経緯
の順に記載します。
1.コロナワクチンの臨床試験の結果
ファイザーとバイオエヌテックのコロナワクチンの3相試験の結果が公表されています。
ワクチンの名前はBNT162b2です。
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine
日本語のアブストラクトが出ていますのでそのままご紹介します。
https://www.nejm.jp/coronavirus/contents/original-article37.php
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簡単に言うと、とても効果的なワクチンだった、という話です。
注意点は、
- 対象は16歳以上
- 2ヶ月以降の副作用は不明
といった点でしょうか。
ハイリスクな欧米人、高齢者には有益性が勝るように見えます。
2.mRNAワクチンとは
このmRNAワクチンというのはこれまでとは全く異なる機序のワクチンです。
色々ネットにも情報がありますので精緻さよりも簡易さを優先して記載します。
既存のワクチンは、ウイルス等の病原体を弱毒化や不活化して投与して免疫を獲得していました。
mRNAワクチンは病原体(今回はコロナウイルス)の遺伝子配列を調べ、それをもとに作るワクチンです。
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という仕組みです。
大きな違いは、感染源を使わずその遺伝子配列だけを使っていることです。
安全そうですし、外からRNAを入れて目的の蛋白を体内で作らせるという画期的な方式です。
ワクチンに限らずmRNA医薬として多くの領域で注目されている手法です。
3.mRNAワクチンの開発の経緯
元々、mRNA医薬の研究者katalin karikoさんがUniversity of Pennsylvania Medical Schoolではこの研究に見込みがないと予算がもらえなかったところに、
mRNA医薬によるがん治療を研究していたバイオエヌテックの創業者の二人が声をかけ同社へ迎え、
今回のコロナウイルスのワクチンをmRNA医薬の技術により短期間で作成しています。
karikoさん、周囲から認められずも先進的な研究を行い論文を発表し、今回のコロナの騒動では大きな貢献をしています。
また、娘さんはオリンピックの金メダリストのSusan Franciaさんです。
ハンガリーから米国への移民、ドイツのベンチャーへ移動して大きな発明、と伝記になりそうな人生ですね。
ちなみに娘さんのSusan Franciaさんはペンシルベニア大学に通い、2004年に犯罪学と社会学の学士号と修士号を取得して、
ボート競技でオリンピックで二度、世界選手権で5回の金メダルを獲得しています。

188cm79kgだそうです。
https://www.susanfrancia.com/#rowing
これだけ優秀だと、
「なにか特別なmRNAもらったのか?」
「Mam由来のallele(対立遺伝子)よ」
とかアメリカンジョーク言われそうです。